初発の慢性骨髄性白血病におけるタシグナの安全性を裏付け
スイスのノバルティス社は6月13日、新たにBCR-ABL陽性慢性骨髄性白血病(CML)と診断された1,000名以上の患者を対象とするENEST1st第3b相臨床試験の結果を発表した。この大規模臨床試験の最終結果は、ウィーンで開催された第20回欧州血液学会(EHA)総会でも報告されている。
同試験によって、以前の試験で観察されていた「タシグナ」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)のファーストライン治療薬としてのベネフィットが裏付けられた。同剤は、世界110か国以上で「グリベック」(一般名:イマチニブメシル酸塩)を含む少なくとも1つの前治療に抵抗性か不耐容の慢性期または移行期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+CML)成人患者の治療薬として、また日本を含む85か国以上では初発慢性期のPh+CML成人患者の治療薬として承認されている。
過去の臨床試験と安全性プロファイルが一致
欧州26か国307か所の施設にて行われた同試験は、14か所の標準化された検査機関で主要評価項目であるMolecular Response 4(MR4.0)の評価を行ったもの。治療開始から18か月の時点におけるMR4.0の達成率は、タシグナ投与群(n=1,052)で38.4%だった。このデータは、タシグナ投与群で、分子遺伝学的効果がより早期に深いレベルで達成されていることを示しているという。
同試験における病期進行率は低く、移行期/急性転化期に進行した患者は6例(0.6%)。過去のタシグナの臨床試験と比べて、ENEST1st試験の患者の年齢中央値は高かったものの、安全性の結果は、すでに明らかになっているタシグナの安全性プロファイルと一致した。最も発現率が高かった有害事象は、発疹、掻痒、頭痛。肝毒性に関連するグレード3または4の有害事象が0.4%の患者に、膵炎が0.6%の患者に見られた。また、グレード3または4の血小板減少症(血液中の血小板数減少)および好中球減少症(白血球数減少)はそれぞれ6.0%と4.8%だった。
今後同社は、同剤について深いレベルでの分子遺伝学的効果に関する詳しい研究を進めるとともに、一部の患者に見られる既存の薬剤に対する抵抗性に対処するため、異なる作用機序をもつ新規化合物も開発していきたいと述べている。
▼関連リンク
・ノバルティス ファーマ株式会社 ニュースリリース