クローン病発症に関わる遺伝子とオートファジーの関係を解明
東京医科歯科大学は6月25日、クローン病の病態解明において、発症に関与する遺伝子が炎症を引き起こす原因細胞の生死を決めていることを見いだしたと発表した。
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この研究は、同大大学院医歯学総合研究科消化器病態学分野の大島茂助教、渡辺守教授らと、カリフォルニア大学サンフランシスコ校との共同研究によるもの。研究成果は、国際科学誌「Autophagy」2015年7月号に掲載された。
クローン病は、小腸、大腸を中心に原因不明の炎症をおこす難病で、日本において罹患者数が増加し続けている。近年の研究により、多くのクローン病の感受性遺伝子が報告されており、その中にはオートファジー関連分子が含まれているが、クローン病病態におけるオートファジーの関与の詳細については、未解明の部分が多かった。
炎症性腸疾患の新規治療法開発に期待
研究グループは、クローン病の罹患に強く関与する遺伝子のひとつである、ユビキチン調節遺伝子「TNFAIP3」に着目。これまでに同研究グループは、TNFAIP3がクローン病の感受性遺伝子であることを報告しており、炎症惹起において重要な役割を担っているリンパ球におけるTNFAIP3の機能をオートファジーの観点から検討した。
その結果、TNFAIP3がMTORのユビキチン化を介してオートファジーを調節し、免疫応答活性化と炎症亢進に寄与するヘルパーT細胞の生存を制御していることが分かったという。 この研究成果により、オートファジー誘導におけるユビキチン化という蛋白質修飾を介した新たな分子機序が、クローン病で起きる炎症の原因のひとつである可能性を発見した。
この研究は、クローン病感受性遺伝子による新たな機能を見いだしたとして、クローン病に対する新たな診断・治療法開発への応用に期待が寄せられている。
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