3つの第3相臨床試験の結果に基づく承認申請
バイエル薬品株式会社は6月30日、遺伝子組換え型第VIII因子(rFVIII)製剤「BAY 81-8973」について、血友病A治療薬としての製造販売承認申請を行ったことを発表した。
血友病Aは、血液凝固第VIII因子欠乏症または古典的血友病ともいわれ、体内の血栓形成に必要なタンパク質の欠乏あるいは低下に起因する、遺伝性の出血性疾患である。血友病のなかで最も多いタイプが血友病Aであり、特に関節や筋肉、内臓で自然発生の出血が起こることや、それらの出血が長期に持続するなどの特徴があるという。
今回の販売承認申請は、小児及び成人の被験者、計204人を対象とした3つの第3相臨床試験の結果に基づくもの。同剤の薬物動態、有効性、安全性を評価する目的で計画された。
標準的な投与量で定期補充療法を行った場合の治療効果を確認
LEOPOLDII試験では、同剤について、定期補充療法の出血時補充療法に対する優位性が示された。推定年間出血率(ABR)の中央値は、週2回の定期補充療法群では出血時補充療法群と比較して93.3%減少し、週3回の定期補充療法群では96.7%減少していた。
この試験で被験者は3つの投与群に無作為に割付けられ、実際のABR中央値は 出血時補充療法群で60回/年であったのに対し、週2回定期補充療法群で4回/年、週3回定期補充療法群で2回/年だったという。いずれの定期補充療法群においても、一回体重1kg当たり20~40国際単位(IU)の投与で十分な出血抑制効果を維持することができた。出血時補充療法で同剤を使用した場合、出血の95%が1回または2回の投与により止血可能だった。また、臨床的に重要な薬剤に関連する有害事象は認められず、インヒビターの発現も認められなかったという。
さらに、小児試験であるLEOPOLD Kids試験では、FVIII製剤の治療歴のある12歳以下の小児患者51人に関して、同剤の週2回または週3回もしくは隔日投与の定期補充療法レジメンで優れた有効性が示され、インヒビターの発現は認められなかった。この小児試験では、現在はFVIII製剤の治療歴がない小児患者を対象として継続中としている。
▼関連リンク
・バイエル薬品株式会社 プレスリリース