急性腎不全など重篤な疾患につながる腫瘍崩壊症候群
帝人ファーマ株式会社は6月30日、同社が創製し、欧州に導出している高尿酸血症・痛風治療剤「ADENURIC(R)」(欧州販売名:アデニュリク、一般名:フェブキソスタット)について、欧州におけるサブライセンス先であるイタリアのメナリーニ社が、「腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者における化学療法に伴う高尿酸血症」に対する適応拡大の承認を取得したと発表した。
腫瘍崩壊症候群は、抗がん剤の投与や放射線照射により崩壊した悪性腫瘍細胞に蓄積されていた核酸やリン酸、カリウムなどが血中に大量に放出されることで発生するさまざまな症状の総称。核酸は、尿酸に分解・代謝されるため、腫瘍崩壊症候群に伴い大量の尿酸が体内で産生し、その結果、高尿酸血症を引き起こし、時として死に至る重篤な疾患である急性腎不全などにつながることが知られている。
欧州では、痛風を伴う高尿酸血症と同様に、アロプリノールが高尿酸血症の予防に使用されている。他にも、尿酸分解酵素であるラスブリカーゼが使用されるが、ラスブリカーゼは主として腫瘍崩壊症候群の高リスク患者に使用が限定されることから、新たな治療選択肢が求められていた。
日本国内でも第3相臨床試験を実施中
今回の適応拡大は、腫瘍崩壊症候群の中間リスク及び高リスクを有する造血器腫瘍患者346名を対象に行われた第3相臨床試験の成績に基づくもの。同試験により、フェブキソスタットが既存療法と比較して臨床的意義のある画期的な治療選択肢となり得ることが認められたという。
また欧州では、先発医薬品承認後の10年間、後発医薬品の販売が禁止されているが、今回の結果を受けて、販売保護期間が2019年4月20日まで1年間延長されることとなった。
日本国内においては、帝人ファーマが2014年から、がん化学療法に伴う高尿酸血症を対象疾患とした第3相臨床試験を実施中。今後も適切な尿酸降下療法を提供することで、患者のQOL向上により貢献していきたいとしている。
▼関連リンク
・帝人ファーマ株式会社 ニュース