これまで日本は、ICHを通じて、欧米と承認審査の統一化などを図ってきたが、アジア諸国では、日本の医薬品は簡略審査制度の対象にならず、欧米と同等に評価されていない。
そのため厚労省は、3年以内に、PMDA内に「アジア医薬品・医療機器薬事トレーニングセンター」を新設し、シンガポールや台湾などアジア主要国に赴いて規制当局の担当者を対象に薬事規制のトレーニングを実施。相手国の薬事規制の整備を支援する。
また、PMDAに海外事務所を設け、業界団体とも協力し、相手国との対話を積極的に進めると共に、英語の審査ガイドライン等を作成して海外に発信するなど、世界に日本の薬事規制の信頼性をアピールする。
これに合わせ、厚労省とPMDAは、国や地域別ごとに担当者を配置した国際部門を整備。厚労省が司令塔機能を果たし、業界団体との意見交換などを踏まえ、戦略の定期的な進捗管理などを行い、国際規制調和を推進する方針だ。
一方、同戦略では、日本の薬事承認や安全対策の信頼性・魅力を向上させるため、▽日本医療研究開発機構との連携▽レギュラトリーサイエンスの推進▽臨床開発の活用に向けた疾患登録情報ネットワークの構築――も進める。
この中の臨床研究については、実施施設が集約化されていないという国内の問題を解消するため、20年までに疾患登録情報を活用した臨床開発インフラを整備し、海外メーカーの国内開発を呼び込む施策などを展開する。
PMDAでも、同戦略を踏まえ、今後取り組むべき国際活動をまとめた「PMDA国際戦略2015」を策定。18年までに「レギュラトリーサイエンスセンター」を設置し、ビッグデータの解析から薬効評価の指標開発、副作用リスク等の分析を行い、新たなガイドライン等を世界に向けて発信していく。
塩崎恭久厚生労働相は、同日の閣議後会見で「どこで製造しても認められるような効率的な規制を構築したい。国際的な薬事規制のデファクトスタンダードをどう作るか、日本も積極的に関わっていく」と戦略の狙いを述べた。