■10団体の「連絡会議」で準備
薬学教育学会の設立をめぐっては、まず私立薬大協を中心に準備委を立ち上げ、昨年末に全国薬大会議の了承を得ていたが、関係団体の意見を幅広く集約することが必要と判断。新6者懇メンバーなど10団体で構成する連絡会議を設置し、学会設立に向けた準備を進めていくことにした。
連絡会議の座長には、準備委員長を務めていた笹津備規氏(東京薬科大学学長)を選任した。その上で、「連絡会議」を全国薬大会議の下に置き、「準備委員会」は連絡会議のWGと位置づけて活動することになった。また文科省と厚労省がオブザーバーの立場で参加する。
今後、連絡会議は、来年8月下旬に第1回日本薬学教育学会学術大会(総会)の京都開催を目指し、設立に向けた準備を進めていくことになる。今夏から定期的に連絡会議を開き、会則策定などに取り組み、11月にはプレシンポジウムを開催する。同時に会員募集も開始し、来年3月に学術大会の一般演題の募集を開始、学会直前の7月に学会誌の第1号を発行し、8月下旬に初の学術大会開催にこぎ着けたい考えだ。
連絡会議を構成するのは、▽国公立大学薬学部長(科長・学長)会議▽日本病院薬剤師会▽日本薬剤師会▽薬学教育協議会▽日本薬学会▽日本薬剤師研修センター▽全国薬科大学長・薬学部長会議▽薬学教育評価機構▽薬学共用試験センター▽日本私立薬科大学協会――の10団体。
■「定員を真剣に考えるべき」厚労省・田宮室長、合格率操作の大学に苦言
また、この日の同会議で厚生労働省医薬食品局総務課の田宮憲一医薬情報室長は、第100回薬剤師国家試験の結果に言及。「出願者数を絞り込んで合格率を高く見せて、全国で何番目に高いとアピールしている大学がある。そういうことは慎んでほしい」と苦言を呈し、「入学定員をどう考えるのか、真剣に考えるべきだ」と大学関係者に迫った。
田宮室長は、第100回薬剤師国家試験の合格率が63・17%と低調だったことを「残念」とした上で、補正対象問題が11問あったことについて「学生が物理・化学を勉強しなくても、補正で救ってくれると考えることを心配している」と懸念を表明。「教員はそういう考えではないと思うが、薬局や6年制薬剤師の専門性に対して厳しい指摘もある中、負のスパイラルに陥ることを危惧している。毎回、補正があると学生が認識しないようにしてほしい」とクギを刺した。
大学入試の科目である物理・化学について、「基礎学力の高くない学生がいる」と指摘。「世間から見ると、薬剤師が物理・化学の問題をできないのはどうかと思う」と疑問符を投げかけ、「基礎学力をしっかりフォローしていただきたい」と求めた。
さらに、今回から大学別の出願者数が公表されたことについて、「出願者数の絞り込みをして合格率を高く見せ、全国で何番目に高いとアピールしている大学がある。そういうことは慎んでほしい」と厳しく指摘。「入学定員をどう考えるのか、真剣に考えるべき」と述べ、このままの状況では6年制薬剤師の信頼を失いかねないと懸念を示した。