オピオイド系鎮痛薬による副作用の便秘症状緩和薬
塩野義製薬株式会社は6月24日、末梢作用型μオピオイド受容体拮抗薬「naldemedine」(一般名、開発番号:S-297995)の一連の試験のうち、国内第3相臨床試験(COMPOSE-IV試験)で良好な結果が得られたことを発表した。
同試験結果は、naldemedineの一連の第3相臨床試験(COMPOSEプログラム)における国内最初の試験成績。COMPOSEプログラムは、7つの第3相臨床試験で構成されるnaldemedineのグローバル開発プログラムである。
オピオイド系鎮痛薬を使用中の患者にとって、便秘症状は最も多く認められる副作用のひとつ。主な症状は、排便回数の減少、排便時におけるいきみの進行または悪化、直腸内残便感、便の硬質化などに代表される用便習慣の変化とされる。
オピオイド系鎮痛薬の長期投与患者のうち、40~50%の患者が便秘症状を発症し、うち半数以上の患者で緩下薬による効果が不十分であることが報告されている。また、時にはがん性疼痛を訴える患者へのオピオイド系鎮痛薬の使用継続を困難にするなど、疼痛治療の妨げになることがあるという。
SBMレスポンダー率、naldemedine投与群が有意に上回る
COMPOSE-IV試験は、がん性疼痛の除痛のためにオピオイド系鎮痛薬を使用中の患者において、同鎮痛薬の使用に伴う便秘症状の緩和の効果を、naldemedine投与群とプラセボ投与群について比較したもの。同試験は、オピオイド治療による便秘症状を有する193名のがん性疼痛患者を対象に、多施設共同、プラセボ対照、無作為、並行群間二重盲検比較法によって、国内で実施された。
同試験の結果、主要評価項目である投与2週間のSBMレスポンダー率は、naldemedine投与群(0.2mg錠を1日1回1錠服用)において、有意にプラセボ群を上回ったという。また、1週間あたりのSBM回数変化量等の主要な副次的評価項目についても、naldemedine群は有意にプラセボ群を上回った。さらに、同剤の忍容性は概ね良好であり、5%以上発現した有害事象は下痢のみで、ほとんどが軽度な事象だったという。また、オピオイドの鎮痛効果の減弱は認められなかった。
同社では、今回得られた試験の良好な成績を含め、今後も一連のCOMPOSEプログラムを進め、オピオイド系鎮痛薬による便秘症状に苦しむ多くの患者に、新たな治療の選択肢を提供したいとしている。
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・塩野義製薬株式会社 ニュースリリース