CKD治療の新たなターゲットの同定目指す
英国のアストラゼネカは6月17日、米国・ミシガン州のミシガン大学と共同で、慢性腎臓病(CKD)の治療向上の研究を実施することを発表した。研究期間は2年を予定している。
この共同研究では、患者の臓器細胞組織の使用と前臨床モデルの検証に焦点を当て、CKD治療の新たなターゲットを同定するという非常に困難な領域に取り組む予定だという。同契約のもと、スウェーデンにあるアストラゼネカの研究所の科学者が、ミシガン大学の内科学・コンピューター医学・バイオインフォマティックスのMatthias Kretzler教授が率いる研究者チームと協働する。
生検データベースの調査や、動物モデルの作製を予定
CKDは、腎臓が障害により効果的な血液ろ過ができず、血液中の老廃物が体内に蓄積してしまう疾患。結果として、心血管系疾患、心筋梗塞あるいは脳卒中などの健康障害を発症しうる状態のことを指す。多くの患者は最終的に末期腎臓病に進行し、血液透析や腎移植が必要な状態になるとされる。
現在CKDの最大の原因として、糖尿病が挙げられる。しかし、糖尿病合併症治療のアプローチでは、患者は高価な治療が必要となり、治療選択肢が限定されるため、アンメットメディカルニーズが非常に大きいと考えられていた。
同研究グループは、CKD進行を予測する生物学的標的および経路を同定するための、患者からの生検データベースの調査や、ヒトの病態をより良く反映する動物モデルの作製を行う予定。また、患者検体を用いたCKD進行および治療奏効に関連するバイオマーカーの同定も実施するという。
この研究を通じて、CKDの臨床治療において適正な治療標的を追究し、将来的に有望な医薬品の開発を進めていきたいと、同研究グループは述べている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース