■規制改革会議が答申
政府の規制改革会議は16日、規制緩和策の答申をまとめ、安倍首相に提出した。焦点となっていた薬局の構造規制をめぐっては、患者の利便性を考慮し現行の規制を見直すと明記。併せて、薬局と医療機関の経営上の独立性を確保するための方策を講じるとした。同会議が求めていた、病院の中に薬局を設置できるようにする規制緩和策は盛り込まれなかった。また、2016年度診療報酬改定で門前薬局の報酬を引き下げる一方、かかりつけ薬局の要件を明確化し、その機能を手厚く評価する方針を打ち出した。
薬局の構造規制では、「公道またはこれに準ずる道路を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態」を認めておらず、門前薬局の中には、フェンスなどを設けて、患者が一旦公道に出てから薬局に入り直す構造にしているところもある。
答申では、車いすの患者や高齢者などの負担を考慮し、経営上の独立性の確保を条件に、「薬局と医療機関の間で患者が公道を介して行き来することを求め、その結果フェンスが設置されるような現行の規制を改める」とし、今年度中に結論を得て、16年度中に措置するよう求めた。
これに併せ、患者の薬局選択の自由を確保しつつ、経営上の独立性を確保するための実効ある方策を講じるよう求めた。
今年3月に同会議が行った公開ディスカッションでは、“病院内薬局”を認めるべきとの意見が会議側の委員から出ていたが、答申では、院内薬局の解禁について触れていない。
薬局の機能やサービスに応じた報酬体系へ抜本的に見直す方針も打ち出した。地域包括ケアにおいて、薬局・薬剤師が薬学的管理や指導を適切に実施する環境を整えるため、かかりつけ薬局の要件を具体的に明確化するなど、薬局全体の改革の方向性を検討するよう求めた。
薬局の改革と併せ、門前薬局の評価を引き下げる一方で、“患者にとってメリットが実感できる薬局の機能”に対する評価を手厚くするなど、「努力した薬局・薬剤師が評価される」ような仕組みに改めることも求めた。
また、薬局の利用者がサービスごとに利用の要否を選択できるようにするため、薬局のサービスの内容と価格を分かりやすく表示すべきとした。15年度に検討・結論を得て、16年度診療報酬改定で措置することとしている。
リフィル処方箋の導入や分割調剤については、見直しに関する議論を加速し、結論を得ることを明記した。
新薬の処方を14日間に制限する規制の見直しも盛り込んだ。投薬のために14日に一度通院することは、患者や保護者にとって負担が大きいとして、新たな処方日数の上限について、副作用の早期発見など、安全性確保に留意した上で、中央社会保険医療協議会で検討し、結論を得るとした。
■コメントを発表‐日薬
答申を受けて日本薬剤師会は17日、コメントを発表した。
構造規制の見直しの中で「患者の保険薬局の選択を確保しつつ」規制を改めるとした点について、日薬のこれまでの主張が理解されたと評価。しかし、今回の答申が院内薬局の道につながるような誤解を生む余地が残っているとし、具体的な内容を議論していく過程で、こうした懸念を払拭するために、厚労省に強く申し入れると共に、関係者の理解を深めてもらう活動を行うとした。
調剤報酬改定に関しては、中医協で積極的な意見を述べていくとした。