中等・重度の尋常性乾癬患者に対し、12週間にわたり比較評価
米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは6日10日、「Ixekizumab」(イキセキズマブ)の2つの第3相臨床試験の詳細な結果が、医学雑誌「Lancet」に掲載されたことを発表した。
イキセキズマブは、中等度から重度の尋常性乾癬の治療を目的とした、同社の治験薬。炎症性サイトカインであるインターロイキン 17A(IL-17A)に高い親和性を持って特異的に結合し中和するモノクローナル抗体だ。乾癬において、IL-17A は過剰なケラチノサイト(皮膚細胞)の増殖と活性化に主要な役割を果たしている。また同剤は、関節症性乾癬の治療薬としても臨床開発が進められている。
今回結果が発表されたUNCOVER-2およびUNCOVER-3試験は、18か国の中等度から重度の乾癬患者2,500名以上を対象とした第3相多施設共同二重盲検比較試験。初期投与量は160mgで、その後プラセボ群、エタネルセプト治療群(50mgを週2回)またはイキセキズマブ治療群(80mgを2週間または4週間ごと)に割り付け、12週間にわたり比較評価したという。
皮膚病変およびQOLを有意に改善
発表によると、イキセキズマブは、2週間ごとあるいは4週間ごとの投与間隔どちらについても、主要評価項目である12週目のPASI75の達成において、エタネルセプトおよびプラセボに対して優位性を示した。イキセキズマブの投与開始後1週時の早期からプラセボに対する統計的な有意差が認められ、同剤を投与された患者の約半数が4週時までにPASI75 を達成したという。
またイキセキズマブで治療した患者の皮膚病変の改善は、エタネルセプトおよびプラセボと比較し、より高い割合でPASI90およびPASI100(皮膚病変の完全な消失に相当)を達成。PASI100スコアを達成した患者の割合は、エタネルセプトで治療した患者よりもイキセキズマブで治療した患者の方が5~7倍多い傾向にあったという。
さらに、イキセキズマブで治療した患者の臨床効果には、健康に関連したQOLの向上が伴っていた。皮膚疾患に特化したQOLの評価指標(DLQI)を用いて測定した結果、イキセキズマブで治療した患者の60%近くが12 週目までに「乾癬はQOLに影響していない」と回答している。
これらの結果から、イキセキズマブが承認されれば、中等度から重度の乾癬患者に、乾癬によって引き起こされる身体的および精神的課題の両方を改善する治療選択肢を提供できることになるだろうと同社は述べている。
▼外部リンク
・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース