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スイッチOTC、新枠組み運用がカギ-慶大・望月薬学部長、消費者参加の会議は「大きな転換」

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2015年06月17日 AM10:00

慶應義塾大学薬学部長の望月眞弓氏は、薬事日報の取材に、スイッチOTC候補品目の選定に当たって一般からの要望を受け付け、消費者も含めた「評価会議」で議論する新たな仕組みを厚生労働省が提案したことについて、「大きな転換」と評価した。その上で、「この仕組みがどう動くかによって、社会が本当に必要としているスイッチOTCを安心、信頼される形で提供できるかが決まる」との認識を示した。

望月氏が代表者を務めた厚生労働科学研究班の報告書は、スイッチOTC候補品目の選定に当たって、誰でも提案でき、消費者も含めた場でのヒアリングを実施するなど、多様なニーズの反映と透明性の確保を提言。開発段階では、OTC薬の特性を踏まえた評価を行うため、添付文書の理解度調査を実施する承認審査の見直しを求めた。

厚労省が提案した新たな枠組みは、こうした研究班の提言を踏まえたもの。これにより誰でも要望でき、公開の評価会議に消費者も参加して専門家と議論し、候補品目を選んでいけることになる。これまでスイッチOTCの候補品目については、社会のニーズを明確に把握できていなかったが、一般からの意見を反映させることで、より明確なニーズの把握を目指す。

望月氏は「一般の消費者を入れた誰でも提案できる場で、透明性を持って検討できることが最大のポイントだと思う。スイッチOTCを販売する企業にとっても、社会のニーズを把握できれば、より開発リスクを低減できるのではないか」と話す。

一方、添付文書理解度調査の実施は、厚労省の「一般用医薬品承認審査合理化等検討会」が2002年にまとめた中間報告でも提言されている。望月氏は「提言が10年以上にわたって取り入れられなかったことを考えると、理解度調査の制度化が提案されたことは大きな進歩」と評価した。

特に、昨年改正された医薬品医療機器等法は、第1条に国民が医薬品の適正使用に努める役割を明記しており、望月氏は「一般の方がきちんと知識と理解を深められる添付文書になっていないといけない」と指摘。「今のOTC薬の添付文書は、以前より相当に分かりやすくなっているが、それでも難しい。最終的にはメモ代わりになる説明書として、きちんと理解できる書きぶりになっていないといけない」と課題を挙げた。

ただ、添付文書の理解度調査は、企業の負担になることが予想され、望月氏は「それはしっかり考えないといけない。あまり負担が大きいと、新しいスイッチOTCの開発意欲を削いでしまい、良い製品が早く世の中に出せなくなってしまう。企業にとっても社会に役立つデータが取れ、ぜひ開発したいと意欲が湧くような制度になることが必要」との考えを示した。

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