エボラ出血熱の治療薬として期待される抗血清製剤
アンジェス MG株式会社は6月15日、エボラ出血熱対策医薬品として開発を進めるDNAワクチン技術を用いた抗血清製剤について、予備的に実施していた試験で良好な結果が得られたことを発表した。
抗血清製剤とは、病原体の増殖を阻害する中和抗体を有効成分とする医薬品。感染予防効果を得るのに時間を要するワクチン療法とは異なり、すでにウイルスに感染してしまった患者の病態の重篤化を抑制するものである。ウマ等の動物に病原体や毒素を投与してから血清を精製し、得られた抗体を含む成分を患者に投与することで、免疫を持たない患者の病態の重篤化を阻止する。抗血清製剤は破傷風やジフテリアなどの治療薬として実績があることや、エボラ出血熱の治療を目的として回復した患者の血清の投与が試されていることなどからも、エボラ出血熱の治療薬として、抗血清製剤の可能性が期待されているという。
ウイルスタンパク質に対する抗体価の上昇を確認
アンジェス MGが開発を計画する抗血清製剤は、エボラ出血熱ウイルスのタンパク質をコードするDNAワクチンをウマに接種して得られる、ウイルスタンパク質に対する抗体を精製して製造するもの。DNAワクチン技術を用いることで、病原ウイルス自体を取り扱わないため安全に、かつ短期間で製造できることから、緊急の対策を必要とするエボラ出血熱治療薬として適していると考えられる。なお、同社はこのDNAワクチン技術を保有する米国Vical社から、国内の独占的開発販売権を取得している。
同社は、2015年3月よりこのDNAワクチンの投与による抗体の産生を検証する試験を実施した。この試験では、同DNAワクチンをウマに接種し、その血清に含まれるウイルスタンパク質に対する抗体価を測定。この結果、DNAワクチンの投与によってウイルスタンパク質に対する抗体価が有意に上昇することが確認されたという。
今回の試験結果を受け、同社は今後エボラ出血熱抗血清製剤の早期実用化に向けた計画の策定を進めていくとしている。
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・アンジェス MG株式会社 ニュースリリース