予後不良因子を持つ中等度から重度の早期関節リウマチ患者が対象
米国ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は6月9日、「オレンシア(R)」(一般名:アバタセプト(遺伝子組換え))の第3b相AVERT試験とAMPLE試験の結果を、欧州リウマチ学会(EULAR 2015)で発表したと公表した。
両試験は、より重度の病勢進行や関節損傷に関連する抗環状シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)やリウマチ因子(RF)といった予後不良因子を持つ、中等度から重度の早期関節リウマチ(RA)患者を対象としたもの。
両試験の主要結果はすでに報告されているが、今回はいくつかの新たな解析結果を発表した。これらは、ACPAと治療結果の相関関係を示唆するとともに、RA患者に対するオレンシア+メトトレキサート(MTX)併用療法に関してさらなるデータを提供するものだという。
RAの病勢進行に関して有望な知見をもたらす解析結果
まず、AVERT試験における1件の事後解析から、オレンシアとMTXを投与した患者のうち、罹病期間が3か月以下の患者では、罹病期間がより長い患者と比較して、薬剤投与中止後にDASで定義されている寛解(DAS、2.6未満)を維持した患者の割合が高いことが判明。罹病期間の短さは、臨床的反応の発現までの速さとも関連していたという。
また、さまざまなタイプのACPAに対するオレンシア+MTX併用療法の効果と、臨床的反応との関係も評価。試験開始時にIgM 抗体型ACPAが陽性の患者群では、同抗体が陰性だった患者群に比べ、オレンシア+MTX併用療法がより高い臨床的有効性を持つことが示唆された。同時に、時間の経過とともにセロコンバージョン(ACPA 陽性から陰性への転換)が認められた患者群では、認められなかった患者群に比べ、オレンシア+MTX併用療法がより高い臨床的有効性を持つことも示唆されたことから、ACPAに対する効果とRA患者に対する臨床ベネフィットの関連が示唆されるとしている。
さらに、AMPLE試験での探索的解析から、オレンシア+MTX投与群ではアダリムマブ+MTX投与群に比べ、ベースライン時の血中ACPA 濃度が臨床的反応と相関が高いことも確認。ベースライン時のACPA力価をもとに患者を四分位点でQ1~4の4 群に分割したところ、オレンシア投与群では、ACPA力価の点で上位4分の1(Q4)に属する患者とその他4分の3(Q1~3)に属する患者の間で、DAS28(CRP)とHAQ-DIに関して有意な差が認められた。一方、アダリムマブ投与群ではQ4とQ1~3の間に有意な差は認められなかったという。
同社では、今後さらに研究を進めることで、中等度から重度の早期関節リウマチ患者に対するオレンシア+メトトレキサート併用療法に関して、より理解を深めていきたいとしている。
▼外部リンク
・ブリストル・マイヤーズ株式会社 プレスリリース