厚生労働省は12日、武田薬品が関与した高血圧治療薬の大規模臨床研究「CASE‐J」で、統計的有意差がないにもかかわらず、脳卒中等の発現率が低く見えるグラフを広告資材に用いたことが医薬品医療機器等法で禁止している誇大広告に当たるとして、薬機法に基づき同社に業務改善命令を出した。7月中旬までに是正措置と再発防止策等の改善計画を策定し、厚労省に提出することを求めている。誇大広告で行政処分を行うのは初の事例。
行政処分の対象となったのは、「CASE‐J」の結果を用いた広告資材で、統計的な有意差がないのに他社製品と比べて脳卒中等の発現率が低く見えるよう強調した行為。
厚労省は、ブロプレスの脳卒中等の発現率が他社製品を下回ることを強調するため、交差部分に矢印を使いゴールデンクロスという最大級の表現で強調したことや、切り札という強い表現で糖尿病、慢性腎臓病など本来の効能・効果でない副次的効果を示した資材が8年程度使われ続けたことを重く見て、薬機法66条の誇大広告違反による処分が必要と判断。武田に業務改善命令を出した。
厚労省は「医薬品には副作用もあり、適切な情報提供が極めて大事。業界全体として、改めて医薬品広告の重要性を認識してもらいたい」と広告への取り組み強化を求めている。
業務改善命令を受け、武田は「患者や医療関係者に心配をかけたことをお詫びする。今回の処分を真摯に受け止め、必要な改善策を継続して実施していく」とコメントした。