■医薬品卸の提出資料簡素化も
中央社会保険医療協議会の薬価専門部会は10日、2014年度の診療報酬改定で導入された、医薬品納入価の妥結率50%以下の病院や調剤薬局の調剤基本料を引き下げる未妥結減算制度の影響や、政府の経済財政諮問会議が提案している毎年薬価改定について議論した。未妥結減算制度をめぐり、安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)から、制度が導入される前から高い妥結率を維持していた小規模薬局を対象から外すよう求める意見や、医薬品卸側からは地方厚生局に提出する資料のうち、「品目リスト」を省くなど、さらなる簡素化を求める意見が出た。
14年度改定では、チェーン薬局や大規模病院の妥結率の低さが薬価調査の妨げになっているという指摘を踏まえ、毎年9月末までに妥結率が50%を下回った医療機関や薬局の基本料を10月から1年間、減算する新たなルールが導入された。
新制度の導入により、昨年9月末時点の医療機関と医薬品卸間の価格妥結率は、薬価改定が行われた2012年9月の43・5%から92・6%に大幅に改善したものの、9月に価格交渉が集中するなどしたため、単品単価取引が進展しなかった。
この日の会議に厚生労働省が示した、薬価改定1年目の12年度と14年度の取引状況の比較によると、20店舗以上のチェーン薬局が62・2%から59・4%に下がり、200床以上の病院も61・4%から53・1%に減少した。
支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は、制度の導入により、妥結状況が改善しているため、「一定の効果が出ている」としながら、単品単価取引が停滞していることを問題視。今後の業界ヒアリングで医薬品卸関係者に要因を説明するよう求めた。
診療側の安部委員は、制度の導入に伴う事務手続きなどが薬局にとって負担になっている点を指摘した上で、チェーン以外の小規模薬局の妥結状況は「制度の導入前から良かった」と主張し、「これまでの結果を踏まえ、制度の対象から外してもいいのでは」と述べた。
吉村恭彰専門委員(アステム社長)は、同制度では対象となる5万8000軒弱の薬局、医療機関の妥結の根拠を示す資料と全ての品目リストを作成し、地方厚生局に提出しなければならず、「膨大な労力がかかっている」とし、制度の運用を見極めた上で、「品目リストまで提出しなくていいよう変更してほしい」と要望。
これに対し、厚労省保険局医療課の中井清人薬剤管理官は、「運用面で一定の改善はできるので、検討したい」と応じた。
毎年薬価改定については、複数の委員から17年4月に予定している消費税率10%への引き上げに対応した薬価改定と、2年に1度、偶数年度に診療報酬改定とワンセットで実施している薬価改定とは、「分けて議論すべき」との意見が出た。