睡眠時無呼吸が発生した際に、血圧が200mmHg以上に上昇
オムロン ヘルスケア株式会社は6月10日、睡眠時無呼吸症候群の患者が睡眠中に無呼吸発作を起こすときの急激な血圧上昇に関する研究の結果を発表した。その中で、夜間血圧の平均値は一見正常であっても、睡眠時無呼吸が発生した時の血圧で、200mmHg以上に上昇する危険なタイプの高血圧があることが判明したという。
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この研究は、自治医科大学循環器内科学部門の苅尾七臣教授との共同研究によるもの。研究の中間結果については、6月12日からイタリア・ミラノで開催される「第25回欧州高血圧学会」のシンポジウムにて発表される。また、同社の出展ブースにて、試作機の展示および研究内容の紹介を行うという。
夜間高血圧の原因のひとつと考えられる睡眠時無呼吸症候群は、降圧治療をしていても血圧がコントロールされない「治療抵抗性高血圧」の最も多い要因と考えられており、患者数は日本だけでも200~300万人と推定されている。同疾患は、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸を繰り返すが、この睡眠時無呼吸に伴って急激な血圧上昇が発生し、心臓などに大きな負荷をかけ、危険因子になるという。
一般的に、夜間血圧は24時間自由行動下血圧モニタ(ABPM)で測定される。これは、携帯型の血圧計を24時間装着し、30分間隔などで測定・記録するものだが、この方法では、睡眠時無呼吸の発生タイミングに合わせて血圧を測定できないため、睡眠時無呼吸に伴う急激な血圧上昇を捉えられず、心血管病リスクを正しく評価できない課題があった。
低酸素を信号として測定する新しいタイプの血圧計試作機を開発
オムロンと自治医大の循環器内科学部門は、夜間の無呼吸発作で引き起こされる低酸素を信号として血圧測定を開始する新しいタイプの血圧計の試作機を開発。2012年より実証研究を進めてきていた。現在、全国25施設の医療機関が同研究に参画し、900症例を超えるデータが集積されている。
その結果、睡眠時無呼吸の重症度や夜間血圧の平均値は同じでも睡眠時無呼吸に伴う血圧上昇の程度には個人差があること、さらに、夜間血圧の平均値は一見正常であっても、睡眠時無呼吸が発生した時の血圧には、高い人では200mmHg以上に上昇する危険なタイプの高血圧があることが判明したという。また、睡眠時無呼吸に伴う血圧上昇は、就寝前の降圧治療によって上昇を効果的に抑えられることが実証された。
同社は、家庭で夜間の血圧を測定することによって危険な夜間高血圧を評価し、それを抑える治療・血圧管理を行うことで、そのリスクを低下させることができると考え、今後も共同研究を進めていく予定。また、試作機の改良を実施し、2015年度中の販売開始をめざして開発を進めるとしている。
▼外部リンク
・オムロン ヘルスケア株式会社 ニュースリリース