疾患管理の経験や満足度、医療従事者との関係について調査を実施
米国のファイザー社は5月28日、世界13か国の成人関節リウマチ患者3,600名以上を対象に行った調査を実施し、その結果を発表した。患者の治療や疾患管理における経験や満足度だけでなく、患者と医療従事者との関係やコミュニケーションについても調査した。これは、この種の調査では初となる。
同調査「RA NarRAtive」は、2012年9月4日から2015年1月13日にかけて、同社に代わりHarris Poll社が世界13か国の18歳以上の関節リウマチ患者3,649人(アルゼンチン/217人、オーストラリア/481人、ブラジル/324人、カナダ/237人、フランス/122人、ドイツ/525人、イタリア/204人、日本/354人、韓国/168人、スペイン/122人、トルコ123人、英国/246人、米国/526人)を対象にインターネットで調査を実施した。
調査データによれば、心配事や不安を医療従事者に相談できる患者のほうが、そうでない患者に比べて自身の健康状態全般について「とても良い」または「良い」と回答している割合が高く(43%:29%)、治療に対する満足度や医療従事者との良好な関係が、疾患管理にプラスに影響する可能性があることがわかったという。
一方で、関節リウマチ治療薬を処方されている患者の5人中4人(78%)が「治療法に満足している」と回答しているものの、同じ患者の中で自身の疾患が「コントロールできている」と答えたのはわずか30%であったという。医療従事者によって病状が中等度から重度、または重度であると判断された患者の場合、患者本人の満足度と疾患管理に対する認識の間のずれがより顕著であったとしている。
患者と医療従事者との関係や治療に対する認識が疾患管理に影響
本来、治療目標設定時に医師と患者がともに意思決定に関与する「シェアード・ディシジョンメイキング」を実践することが最も望ましいとされている。今回のデータでは、疾患管理のために現在医療従事者にかかっている患者の大多数(83%)が、関節リウマチ治療に関する医療従事者との話し合いに満足していると回答した一方で、やはり大多数(85%)が医療従事者との関係がよくなれば疾患管理がさらに改善されるであろうと回答。治療目標や不安、特に疾患管理や治療法について、医療従事者とよく話し合っていない可能性があることがわかったという。
さらに全関節リウマチ患者のうち47%が、日常生活の中で何らかの活動をあきらめたと回答。関節リウマチ治療薬に関しては、全回答者の42%が、関節リウマチの治療は関節リウマチとともに生きるのと同じくらい困難であると考えている。現在さまざまな治療薬や治療法があるにもかかわらず、一部の患者では最適な疾患管理が行われていない可能性があることが明らかとなった。
同調査のアドバイザリーパネルで共同委員長を務めるホスピタル・フォー・スペシャル・サージェリーのリウマチ専門医Alan Gibofsky氏は「今回の調査結果は、患者さんが自身の満足度や治療目標を伝えたり、質問することを推奨されていないと感じると、最適な疾患管理が実行されない可能性があることを示唆しています。医師に対し、患者さんの『満足している』という回答を額面どおりに受け取ることなく、疾患活動性を評価する際、もっと多くのこと聞き出してほしいと要望しています」と述べている。
▼外部リンク
・ファイザー株式会社 プレスリリース