完全奏効が88.5%と極めて高い有効性を確認
京都大学は6月5日、食道がん化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残再発に対するレザフィリンおよび半導体レーザを用いた光線力学療法(PDT)が薬事承認されたことを発表した。
画像はリリースより
食道がんにおいて、化学放射線療法または放射線療法は、根治が期待できる非外科的治療だが、がんが消失せず残存した病変、あるいは一旦病変が消失したものの再発を来たした場合には、確立された標準治療はなく、根治は困難だった。
今回承認された光線力学的療法(PDT)は、光感受性物質とレーザを組み合わせた非外科的治療で、レーザが照射された部位の腫瘍細胞を壊死させる局所治療法。正常組織への影響が少なく、身体への負担が軽減された治療法として知られている。
同大学医学研究科の武藤学教授らを中心とする研究グループは、全国7施設でこのPDTに関する医師主導治験を実施。このような食道がんを対象としたPDTにおいて、がんが消失する完全奏効が88.5%と極めて高い有効性を明らかにした。食道がんに対する化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残再発において、レザフィリンおよび半導体レーザを用いたPDTが、救済治療法として重大な副作用がなく、極めて高い完全奏効率を得られることを確認したという。
医療機関におけるPDT治療の導入準備を推進
この成果に基づき、Meiji Seikaファルマ株式会社およびパナソニック ヘルスケア株式会社が、光線力学的療法用剤「注射用レザフィリン(R)100mg」およびPDT半導体レーザ「PDレーザ」/単回使用PDT半導体レーザ用プローブ「EC-PDTプローブ」について、化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残再発食道がんに対する適応追加承認(「EC-PDTプローブ」については新規承認)を取得。救済治療としては世界初の薬事承認取得だという。承認取得に伴い、今後は医療機関における同治療の導入準備を進めていくとしている。
同研究グループは、同治療の承認が、化学放射線療法または放射線療法後の局所遺残再発食道がんに対する新たな根治的低侵襲治療として、医療現場に貢献できるものと期待を寄せている。
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