肝細胞がんの適応に対する全例調査を終了
バイエル薬品株式会社は6月5日、「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、「切除不能な肝細胞癌」および「根治切除不能な分化型甲状腺癌」を効能・効果として販売中の「ネクサバール(R)錠 200mg」(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)について、「切除不能な肝細胞癌」に対する承認条件解除の通知を厚生労働省より受領したと発表した。これにより、肝細胞がんの適応に対する製造販売後の全症例を対象とした特定使用成績調査(全例調査)は終了する。また、この件についての医療機関への案内は、医薬情報担当者を通じて開始するという。
ネクサバールは、現在100か国以上で承認されている経口抗がん剤。非臨床試験では、同剤は腫瘍の増殖に重要な役割を果たす細胞増殖(腫瘍の成長)と血管新生(腫瘍への血液供給)のそれぞれに関与すると考えられている複数のキナーゼ(Raf キナーゼ、 VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR-B、KIT、FLT-3、RET など)に作用することが示されている。
日本では、2008年1月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」の効能・効果で製造販売承認を取得。2009年5月に「切除不能な肝細胞癌」、2014年6月に「根治切除不能な分化型甲状腺癌」の効能・効果で追加承認を取得した。それぞれの承認取得にあたり、全症例を対象に使用成績調査を行うことが承認条件として付与されていた。なお、最初に承認を受けた腎細胞癌における承認条件は2012年6月に解除されている。
分化型甲状腺がんについては、現在も調査が継続中
今回の肝細胞がん承認条件解除の決定は、切除不能な肝細胞がん患者を対象とした全例調査(1,619例)の詳細な解析結果、および、これまでに講じた安全対策の結果をまとめた資料に基づく。同剤の承認条件である調査を適切に実施し、対象患者における安全性と有効性に関する情報が収集され、適正使用に必要な情報が広く医療関係者に伝達された結果、措置が講じられていると判断され、厚生労働省より承認条件が解除されるに至ったという。
肝細胞がんに対する全例調査の中間解析結果については、ネクサバール総合情報サイトに掲載されている第3回中間報告書(1,114 例)で確認することができる。
なお、「根治切除不能な分化型甲状腺癌」については承認条件の解除は受けておらず、現在も調査は継続されている。バイエル薬品は今後とも、安全性・有効性の情報を医療機関に迅速に提供するとともに、適正使用の推進に努めていくとしている。