第75回米国糖尿病学会でEXAMINE試験の事後解析データを発表
武田薬品工業株式会社は6月8日、2型糖尿病治療薬「アログリプチン」の心血管系への安全性を評価したEXAMINE試験の追加データを発表した。これは、米国時間6月5日、米国・マサチューセッツ州ボストンで開催された第75回米国糖尿病学会(American Diabetes Association)学術集会において発表された、直近に急性冠症候群(ACS)を発症した心血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者を対象に、アログリプチンの心血管系への影響を評価した同試験の事後解析データおよび追加の事後解析データを受けたもの。
このEXAMINE試験について、ACE阻害薬を服用している患者における事後解析では、心血管イベントによる死亡、非致死性心筋梗塞および脳卒中、心血管イベントによる死亡または入院を要する心不全のリスクについて検証された。EXAMINE試験に登録された患者の62%がACE阻害薬を服用しており、そのうち1,681例がアログリプチン投与群で、1,642例がプラセボ投与群だった。
今回の学会において口演発表されたデータによると、ACE阻害薬を服用している患者における主要心血管イベント(MACE)の複合発現率は、アログリプチン投与群(11.4%)とプラセボ投与群(11.8%)で同等であることが示された。また、ACE阻害薬を服用している患者における心血管イベントによる死亡または入院を要する心不全の発症率に関しても、アログリプチン投与群とプラセボ投与群で有意な差は認められなかったという。
心血管イベントハイリスク2型糖尿病患者に朗報となるか
さらに追加の事後解析においては、全ての虚血性心疾患および入院を要する心血管イベントについても検証。EXAMINE試験運営委員会の研究者が虚血性心疾患(心血管イベントによる死亡、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症、血行再建術)および入院を要する心血管イベントの発症率を算出したところ、アログリプチン投与群とプラセボ投与群との間で有意な差は認められなかったとしている。
この結果から、アログリプチンは、直近にACSを発症した心血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者における心血管イベントの発症率を検討した成績を初めて発表したDPP-4阻害剤となった。EXAMINE試験のデータは現在、複数の規制当局に提出され、審査されているという。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース