宮城の妊婦及びその家族で喫煙状況、アレルギーなどの現状を調査
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)は6月4日、東北メディカル・メガバンク計画の三世代コホート調査の中間結果報告を発表した。
同計画は、東日本大震災を受け、被災地住民の健康不安の解消に貢献するとともに、個別化予防等の東北発の次世代医療を実現するため、ゲノム情報を含むゲノムコホート研究等を実施し、被災地域の復興を推進するもの。今回の調査に協力したのは、宮城県内に在住する妊婦とその家族26,769人。この参加者のうち、妊婦10,817人を対象に分析を行った。
妊娠初期に回答があったアンケート調査の結果から、妊娠前の体格・身体活動の状況や、妊娠がわかってからの喫煙状況、妊婦自身やパートナーの両親との同居率、採血検査からスギ花粉特異的IgEの陽性率に有意な地域差があることが確認されたという。
医療機関や自治体との連携で、生活習慣改善などの保健指導を
調査の結果、妊婦とその家族が喫煙している割合が明らかになり、妊娠判明後も喫煙している妊婦の割合は2.4~5.8%あり、夫/パートナーが妊娠判明後も喫煙している割合は、各地で42.9~58.6%に達したという。また、スギ花粉特異的IgEの陽性率は54.2%で、全国と同様の傾向を示したが、エリアごとに見ると45.7~56.7%と地域差があったという。
さらに、妊娠前に肥満であった割合は10.8~15.3%、妊娠前の強い運動習慣を有していた妊婦の割合は11.0~17.0%であった。強い運動習慣を有する割合の高いエリアで、肥満の割合が低い傾向がうかがえたという。
これらの結果は、年齢構成や既往分娩の有無などに影響を受けるため、科学的に詳細な検討を行っていく必要があるという。科学的な検討結果の一部は、6月5日に宮城県公衆衛生学会にて報告予定としている。
同調査から、妊婦及び胎児の健康のために、生活習慣面で改善可能な余地が大きく、また、地域ごとに特徴があることが浮かび上がり、保健指導にあたる自治体等との連携を強めていく必要性が示された。同機構は、これらのデータを公表するとともに、調査に協力した医療機関や自治体にも統計解析後の結果を報告するという。この調査が、各地区における今後の健康状況のさらなる改善のための、基礎資料となることに期待を寄せている。
▼外部リンク
・東北大学東北メディカル・メガバンク機構 プレスリリース