CycLex社により開発され、MBL社を通して販売
株式会社アールテック・ウエノは6月4日、同社が作出した抗ヒトVAP-1モノクローナル抗体を用いて、血清など生体試料中の遊離型VAP-1(SSAO)蛋白濃度を測定するための研究用試薬「ヒト遊離型 VAP-1 ELISAキット」が6月から販売されると発表した。
このキットは、同社から抗ヒトVAP-1モノクローナル抗体に関する権利の許諾を受けた株式会社サイクレックス(CycLex社)により開発され、CycLex社の親会社であり総販売代理店でもある株式会社医学生物学研究所(MBL社)を通して販売。MBL社の販売チャネルを活用して全世界で販売展開されるという。
「ヒトVAP-1酵素活性測定キット」や「免疫組織染色用抗体」の開発も
現在、同社は糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫をはじめ炎症性疾患の治療を目標に医療用医薬品として新規VAP-1阻害剤の開発を進めている。VAP-1(Vascular adhesion protein-1)は SSAO(Semicarbazide-sensitive amine oxidase)とも呼ばれ、血管内皮表面に存在する膜結合型(VAP-1)と血清中に存在する遊離型(SSAO)の2つの型があり、VAP-1/SSAOとも記載される。
前者は、白血球(炎症に関連する顆粒球、炎症や免疫に関連するリンパ球や単球)との接着分子の機能を持ち、主に炎症に関連し、後者はアミンオキシダーゼ活性により生体内のアミンを解毒するという2つの異なる機能を有する蛋白だ。糖尿病、アトピー性皮膚炎、乾癬、肥満、動脈硬化、心疾患等では、血清中または体のいろいろな組織で VAP-1/SSAO活性の増加がみられるため、阻害剤は、過剰になったVAP-1/SSAOの機能を抑制し、正常化することが期待されるという。
同社は、この阻害剤の開発に併せて、VAP-1の基礎研究や創薬研究において有用な研究ツールの開発にも注力してきた。糖尿病、動脈硬化、急性の炎症性疾患、肥満、乾癬等の疾患で血中のVAP-1蛋白濃度が高くなっていることが報告されており、これらの疾患に関連する臓器の病態を把握するためにも、各組織での蛋白濃度の測定は重要となる。
同社では、今回のキット販売に先立ち、同社で作出した抗ヒトVAP-1モノクローナル抗体および当該抗体を用いたキットに関する特許出願を実施。また、引き続き、同社で作出した抗ヒトVAP-1モノクローナル抗体を用いて、生体試料中のVAP-1活性を特異的に測定するための研究用試薬「ヒトVAP-1酵素活性測定キット」や、ヒト組織中VAP-1蛋白の発現や局在を検出するための研究用試薬「免疫組織染色用抗体」の開発も進めるとしている。
▼外部リンク
・株式会社アールテック・ウエノ プレスリリース