PD-L1を標的とする薬剤とVEGFR阻害剤との併用における臨床試験で
英国のアストラゼネカは5月29日、米国のイーライリリー・アンド・カンパニーと、アストラゼネカが開発中の抗PD-L1免疫チェックポイント阻害剤である「MEDI4736」とイーライリリーの血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)2抗血管形成がん治療薬「ラムシルマブ」(サイラムザ(R))との併用における臨床試験について、提携契約を同日付で締結したと発表した。
MEDI4736は、同社が開発したヒトモノクローナル抗体製剤。プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に直接作用する。PD-L1を介するシグナル阻害により、がん細胞の免疫探知システムからの逃避機構を阻害するという。
ラムシルマブはVEGFR2阻害剤であり、VEGFRリガンドであるVEGF-A、VEGF-CおよびVEGF-Dの結合を阻害することで、VEGFR2に特異的に結合し、その活性化を阻害する。前臨床データにより、VEGFR阻害剤とPD-L1を標的とする薬剤のような免疫チェックポイント阻害剤の併用は、抗腫瘍作用を増強する可能性があることが示されていた。
がん免疫治療において新たな治療法の確立となるか
今回の第1相試験では、安全性及び推奨用量レジメンを確立する予定。この結果により、さまざまな腫瘍におけるMEDI4736とラムシルマブの併用の対象が拡大する可能性があるという。なお、同試験は、契約に基づきイーライリリーが主導する。
対象となるがん種および財務的条件を含む同提携の詳細は開示されていないが、これらの併用療法により、がん免疫治療において今後新たな可能性が生まれることが期待される。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース