血液脳関門通過に関する技術「J-Brain Cargo」
JCRファーマ株式会社は6月1日、株式会社新日本科学との間において、同日付で業務提携契約を締結したことを発表した。
JCRファーマは、血液脳関門通過に関する独自の基盤技術「J-Brain Cargo」の研究開発を進めている。これは、脳毛細血管の内皮細胞表面に発現している、あるレセプターを介して目的とする物質の脳血液関門通過を実現する技術。同社が実施した実験では、通常の20~100倍の効率で血液脳関門を通過させることができたという。
同技術は、対象となる高分子から低分子までの薬剤に、血液脳関門通過能を付与できる画期的な技術であり、静脈内投与で十分量の薬剤が脳内に到達して薬効を発揮するため、これまで改善が期待できなかった中枢神経症状を伴う病態に対し、大きな改善効果が期待されるとしている。
新日本科学との提携で、他社へのライセンス供与を効率的に推進
現在この技術は、同社開発品であるJR-141(血液脳関門通過型ハンター症候群治療酵素)へ応用している。加えて、同技術は生理活性タンパク質や抗体等の幅広い医薬品への応用が可能で、これまで治療法の開発が待たれていたさまざまな疾患の治療薬開発につながる可能性を考慮し、他社へのライセンスも視野に入れて活動しているという。
新日本科学は、国内外の製薬企業から医薬品開発に関わる研究を受託しており、特に前臨床分野での毒性・薬物動態・薬効評価の経験・技術・ノウハウを豊富に有している。また、医薬品開発に必須とされる霊長類を用いた試験を独自に確立している。
JCRファーマは、J-Brain Cargoの技術導出にあたり、新日本科学がそれらの受託業務を優先的に実施することで、他社へのライセンス供与を効率的に進めることが可能となり、さらに、高品質な研究開発を促進できると予想されることから、今回の業務提携契約に至ったという。
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・JCRファーマ株式会社 ニュースリリース