新会社を設立し、1型糖尿病・セリアック病の治療薬創製で研究を実施
アステラス製薬株式会社は6月2日、スイスのAnokion SA(以下、アノキオン社)が保有する抗原特異的免疫寛容誘導技術を用いた1型糖尿病、セリアック病の治療薬創製を目指す研究提携に関する契約を5月29日付で締結したと発表した。
アノキオン社は、生体内に備わった免疫寛容誘導機構を応用し、赤血球に結合するように改変されたタンパク質抗原を用いて抗原特異的な免疫寛容を誘導する技術を有している。この技術を活用することによって、特定の抗原に対する免疫応答を選択的に抑制することが可能となる。1型糖尿病やセリアック病などの自己免疫疾患に対する安全性の高い根本的な治療法の実現も期待できるという。
今回の契約では、新たに設立された米国のKanyos Bio, Inc.(以下、カンヨス社)において、1型糖尿病、セリアック病の治療薬創製に取り組む予定。また、アステラスは3つ目の適応症を対象とするプログラムを追加するオプション権を保有するという。
将来的には他の自己免疫疾患への応用も
さらにアステラスは、研究開発のための資金をカンヨス社へ提供し、一定のマイルストン達成後、カンヨス社を買収するための独占的オプション権も保有。研究開発のための資金、オプション行使時の支払い、開発マイルストン支払いなど合計約760百万ドルを支払う可能性があるとしている。またカンヨス社は、アステラスと既存のアノキオン社株主から合わせて合計約16百万ドルの出資を受けるという。
今回の提携は、アステラスが既存重点疾患領域の1つにしている免疫科学における戦略の1つ。アノキオン社が保有する技術は、理論的にはその他いくつかの自己免疫疾患にも応用が可能と考えられ、将来に大きな発展性のあるものと同社は期待を寄せている。
▼外部リンク
・アステラス製薬株式会社 プレスリリース