医薬分業への批判が収まらない中で、国民、患者への薬局・薬剤師業務の見える化の必要性が指摘され、改めて法の遵守が叫ばれている。薬剤師自らが自律の精神を持って具体的に質的向上を図っていくことが望まれている。その一方で、地域包括ケアにおける薬局の役割・機能に対する期待は増大しているが、現場での薬剤師不足の解消はメドが立たない状況でもある。
そこで、各地の薬剤師会における人材確保、薬剤師・薬局の質確保に向けた取り組み状況、地域包括ケアのツールの一つともいえる薬局店頭での簡易検査をめぐる環境など、直面する課題について各都道府県薬剤師会の対応状況の一端をアンケート調査した。項目によっては事業の進行上の理由等で回答が得られないものもあったが、全薬剤師会から協力が得られた。
日薬では「基準薬局制度」は当初、処方箋受入体制を整備することを目的に制定。分業の進展を踏まえた見直しも行われたが、「当初目的はほぼ達成した」との前執行部の判断によって昨年度末で制度は終了、その後の対応は各都道府県薬一任の形となった。これを受け各都道府県薬では刷新、あるいは現状維持、廃止に向けて検討してきた。
アンケート結果では「新制度を構築」したのが18都道府県、「旧制度の継続」が9県、「廃止した」のは20府県であった。全体としては、日薬版「基準薬局制度」が終了した後も、過半数の薬剤師会が何らかの形で“基準薬局”制度を維持している。
新たな制度は○○県認定「基準薬局制度」といった名称が目立つが、宮城県では「地域応援薬局」、秋田県では「認定かかりつけ薬局」、神奈川県では「くすりと健康相談薬局」、福井県では「健康づくり支援薬局(仮)」、長野県では「信州健康サポート薬局」、大阪府では「認定かかりつけ薬局」といった、健康情報拠点事業を意識した名称も見られた。各制度の実施時期は概ね今年度からとする薬剤師会が多いが、既に昨年度からスタートしている薬剤師会もある。
一方、日薬ではようやく4月末に「薬局・薬剤師のための検体測定室の適正な運用の手引き(暫定版)」をまとめた。この中でも、かかりつけ医や地域医師会、医療機関と連携する必要性を強調している。連携状況を探るべく「薬局での簡易検査推進について医師会の理解」について聞いた。
調査結果によると理解を「得ている」は約半数の23都道府県、「得られてない」は17府県、「未回答、その他」が7県だった。「その他」では「血糖測定は得られてないが、血圧測定、体脂肪等について協議し、得られている」との回答もあったほか、「特に議論していない」「話題になっていない」との回答も見られた。