AML患者の約30%に認められるFLT3変異に対して阻害効果を確認
アステラス製薬株式会社は6月1日、選択的FLT3/AXL阻害剤である「ASP2215」の再発または治療抵抗性の急性骨髄性白血病(AML)患者における安全性、忍容性および有効性に関する第1/2相試験の予備的な結果を発表した。なおこの試験結果は、シカゴで開催されている2015年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で口頭発表されたものだ。
ASP2215は、アステラス製薬と寿製薬株式会社の共同研究により見出された薬剤。がん細胞の増殖に関与する受容体型チロシンキナーゼであるFLT3及びAXLを阻害する。中でも、AML患者の最大1/3で認められるFLT3の2つの遺伝子変異、遺伝子内縦列重複変異(ITD)とチロシンキナーゼドメイン変異(TKD)の両方を阻害するという。アステラス製薬はASP2215について、全世界での開発、製造、ならびに商業化に関する独占的な権利を有している。
再発性および難治性AML患者を対象とする第3相試験も開始予定
ASP2215の第1/2相試験のデザインは、3+3用量漸増法に従い、1日1回20~450mgの用量範囲を評価。用量漸増法で認められた有効性に基づき、各用量の拡大コホートによる検討が並行して実施された。この試験には合計198名の患者が登録され、24名が用量漸増コホート、174名が用量拡大コホートに組み入れられた。450mgにおいては、患者2名に用量制限毒性(グレード3の下痢とALT/AST上昇)が認められ、最大耐量(MTD)が300mgに決定されている。
今回発表された予備的な結果では、80mg以上投与されたFLT3変異陽性患者106名において、57.5%の全奏効率ならびに47.2%の複合完全寛解率(完全寛解+血小板の回復が不完全な完全寛解+血球の回復が不完全な完全寛解)が認められたという。さらに、すべての用量におけるFLT3変異陽性患者の寛解持続時間中央値は18週であり、80mg以上での全生存期間中央値は約27週だった。また、血漿阻害活性アッセイでは、ASP2215が80mg以上投与された患者のサンプルで、一貫して持続的にFLT3が阻害されることが確認されたという。
なお同社は、再発性および難治性AML患者を対象とするASP2215無作為化第3相試験(用量:1日120mg)を2015年後半に開始する予定としている。
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・アステラス製薬株式会社 ニュースリリース