現行のスキームでは、日本薬学会がスイッチOTCの候補成分を選定し、日本医学会など100以上の関係医学会から意見を聴いた上で、同部会で適当な成分を了承するという運用が行われているが、スキームの運用が開始されてから5年以上が経過し、一般用医薬品を取り巻く環境も大きく変わっている。
会議では、厚生労働科学研究班(代表者:慶應義塾大学薬学部長・望月眞弓氏)がまとめた「一般用医薬品の地域医療における役割と国際動向に関する研究報告」を望月氏が説明。
欧米諸国のスイッチ化のプロセスを踏まえ、スイッチOTC医薬品の候補成分の選定に当たって、多様なニーズの反映と透明性を確保するため、▽誰でも提案できる▽専門家を中心とした一般消費者も含めた場でのヒアリング、パブリックコメントの実施――などを求めた。
申請・承認審査の段階では、より安全性を重視するため、米国の取り組みを参考に添付文書の理解度調査を行うことを提案した。
研究班の結果を踏まえ、厚労省が新スキームを提示。産業界や消費者など、多様な主体からの意見が反映されるようにするため、随時募集し、定期的に要望を取りまとめることとした。要望に当たっては、▽医療用としての使用実績▽副作用の発生状況▽海外での使用状況――などを収集し、資料として提出する。
その後、提出された情報を整理し、要望品目リストを作成。今後、新設される「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(仮称)」で要望品目に関する議論を公開で行い、スイッチ化の候補成分を選定して一般への意見募集を行い、同部会に報告する。
開発段階では、要指導薬や一般薬の安全性を確保するため、添付文書理解度調査を実施する。その後、医薬品医療機器総合機構の審査を経て、同部会で承認の可否を検討する。
会議では、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が、新スキームによるスイッチ化のプロセスが「米国に近い仕組みになっている」点を指摘。米国と日本では医療制度が全く異なるため、「慎重な運用をお願いしたい」と釘を刺した。