大阪大学との共同研究、AHA学術誌に掲載
アンジェス MG株式会社は5月27日、大阪大学と共同研究している高血圧DNAワクチンの基盤技術の開発に成功したと発表した。
この研究は、同社が大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座の森下竜一寄附講座教授、同研究科健康発達医学寄附講座の中神啓徳寄附講座教授および郡山弘寄附講座助教らと共同で研究しているもの。研究成果は、米国心臓協会(American Heart Association:AHA)の高血圧分野の学術誌である「Hypertension」に掲載された。
高血圧DNAワクチンは、昇圧作用を有する生理活性物質の本体であるアンジオテンシンII(AngII)を標的とし、AngIIに対する抗体(抗AngII抗体)を誘導することで、降圧作用を発揮する。
高血圧治療と、高血圧から引き起こされる心疾患の治療に効果
今回、論文に掲載された研究成果では、高血圧DNAワクチンを投与した高血圧モデルラットにおいて、投与8週後から少なくとも24週後まで血圧の有意な低下が持続することが確認されたという。抗体価の測定では投与2週間後から抗AngII抗体の産生が認められ、投与24週後も持続し、またAngIIの血中濃度は有意に低下した。これは高血圧DNAワクチンの投与により産生された抗体がAngII中和抗体として作用し、降圧効果が発揮されたと考えられる。さらに、心血管周囲の線維化を有意に抑制させることも確認された。
これらの研究から、高血圧DNAワクチンは、高血圧治療に有効であるとともに、高血圧を起因とする心疾患への治療効果も示唆される。
同社は、高血圧DNAワクチンのヒトを対象とした医療用医薬品開発の検討を進めている。また、大日本住友製薬株式会社の動物薬事業部門が独立したDSファーマアニマルヘルス株式会社は、同研究成果のイヌ心不全への応用を目指し、アンジェス MGと共同で動物用医薬品開発を進める予定だという。同社は今後も、ヒト医療はもとより動物医療においても、高血圧DNAワクチンの実用化を目指したいとしている。
▼外部リンク
・アンジェス MG株式会社 プレスリリース