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血圧上昇に関与する酵素を阻害する新規含硫黄代謝物を発見、「アスパラプチン」と命名-理研

読了時間:約 1分35秒
2015年05月29日 PM02:15

血圧の上昇に関与するACEに対して阻害活性を示す含硫黄代謝物

理化学研究所は5月26日、理研環境資源科学研究センター統合メタボロミクス研究グループの中林亮研究員、斉藤和季グループディレクター、楊志剛元特別研究員らの研究チームが、含硫黄代謝物特異的分析手法「S-オミクス」を用いて、血圧の上昇に関与するアンジオテンシン転換酵素(ACE)に対して阻害活性を示す含硫黄代謝物をアスパラガスから新たに発見し、「」と命名したと発表した。


画像はリリースより

細胞内の低分子代謝物を網羅的に解析する手法である「メタボロミクス」において、ヒトに有益な活性を示す天然化合物の発見は、重要な課題の1つである。特に植物界に広く分布している含硫黄代謝物は、抗炎症作用、、抗ガン作用などの健康機能活性を示すことから注目を集めている。中でもアスパラガスの抽出物は、血圧降下作用を示すことが知られており、活性成分の解明が求められていた。

細胞内の低分子代謝物を網羅的に解析する手法である「メタボロミクス」において、ヒトに有益な活性を示す天然化合物の発見は、重要な課題の1つである。特に植物界に広く分布している含硫黄代謝物は、抗炎症作用、抗酸化作用、抗ガン作用などの健康機能活性を示すことから注目を集めている。中でもアスパラガスの抽出物は、血圧降下作用を示すことが知られており、活性成分の解明が求められていた。

アルギニンとアスパラガス酸で構成されるアスパラプチン

同研究チームは、S-オミクスを用いて47種類の植物の凍結乾燥粉末サンプルにおける含硫黄代謝物の網羅的なスクリーニングを実施。その結果、アスパラガスからアルギニンとアスパラガス酸で構成されるアスパラプチンを発見したという。ACE阻害活性試験の結果、アスパラプチンの50%阻害活性濃度(IC50)は113μMであり、その阻害活性には結合体におけるアスパラガス酸が必須であることが判明。また、定量試験の結果からアスパラプチンはアスパラガスに251mg/kg新鮮重(水分を含んでいる状態の重さ)含まれていることが分かったという。

今後は、アスパラプチンの血圧降下作用を詳細に評価することで、アスパラガスの健康機能性におけるアスパラプチンの寄与を明らかにし、健康機能性食品や医薬品などへの展開も期待できる。また、今回の研究により、S-オミクスが新規含硫黄代謝物の効率的発見に有効であることが分かった。今後、S-オミクスによって医薬品や農薬に有益な活性を示す化合物の探索研究が大きく進展することが期待できるとしている。

▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース

 

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