シロスタゾール療法の効果・安全性に関する医師主導治験を開始
国立循環器病研究センターは5月26日、同センター脳神経内科の猪原匡史医長を中心とする研究グループが、治験調整事務局を同センターに設置し、軽度認知障害200症例を対象とした全国規模、多施設共同での「軽度認知障害患者に対するシロスタゾール療法の臨床効果並びに安全性に関する医師主導治験」(COMCID study)を開始することを発表した。なお、同センターは他施設に先駆け、5月25日から脳神経内科の長束一行部長を治験責任医師として同治験を開始しているという。
認知症とその予備軍とされる軽度認知障害(MCI)の患者数は、現在日本でも800万人を超え、その進行を阻止する手法の開発が世界中で行われている。いくつかの対症療法は存在するが、認知機能の低下そのものを根本的に食い止める手法はまだ見つかっていないのが現状だ。
MCIから認知症への進行を防ぐ有効な手立てとなるか
今回の治験は、脳梗塞再発予防薬として広く用いられている抗血小板薬「シロスタゾール」が認知症の進行予防にも有効であることを明らかにした先の臨床研究の成果に基づくもの。また、研究グループは、シロスタゾールが、認知症の多くの脳で蓄積が見られる老廃物(βアミロイド)を脳外に流し去る作用を有することを前臨床試験で既に見出している。今回研究グループは、シロスタゾールがMCIから認知症への進行を防ぐ有効な手立てとなるかどうかをこの治験で確認したいとしている。
参加が既に決定している施設は、同センターに加えて、京都医療センター、東京都健康長寿医療センター、大阪市立総合医療センター、倉敷中央病院、三重大学医学部附属病院、宇多野病院、神戸大学医学部附属病院、順天堂大学医学部附属浦安病院、八千代病院、南京都病院の11施設で、さらに数施設の参加が見込まれている。
▼外部リンク
・国立循環器病研究センター プレスリリース