厚生労働省は、21日に開かれた規制改革会議の健康・医療ワーキンググループに、かかりつけ薬局の普及を促し、門前薬局からの移行を推進するため、調剤報酬を「抜本的に見直す」との考えを示した。複数の病院を受診する患者の服薬情報を一元的に管理し、医師と連携して残薬や重複投与を防ぐなど、かかりつけ薬局の機能をより明確化した上で、それぞれの機能を調剤報酬で評価。門前薬局の評価は適正化する。今後、中央社会保険医療協議会で具体的に検討し、2016年度改定以降、数回にわたる改定で対応する。厚労省は、過去数回の改定もこの方針に沿って進めてきたが、それでも“抜本的に見直す”という表現を用い、かかりつけ機能の評価をより強力に推進することにした。
厚労省は、「患者本位の医薬分業の実現に向け、患者にとって身近なところにある、かかりつけ薬局の機能を明確化すると共に、薬局全体の改革の方向性を検討する」との方針を打ち出した。
その上で、かかりつけ薬局を増やし、門前薬局からの移行を進めるための調剤報酬体系にシフトする考えを強調。具体例として、▽在宅での服薬管理・指導や24時間対応など、地域のチーム医療の一員として活躍する薬剤師への評価▽かかりつけ医と連携した服薬管理に対する評価▽処方薬の一元的・継続的管理に対する評価▽薬剤師の専門性を生かした後発品の使用促進に対する評価▽いわゆる門前薬局に対する評価の見直し――などを軸に、今後の中医協で検討する方針を示した。
こうした報酬体系の見直しによって、患者の薬物療法の安全性・有効性が向上するほか、多剤・重複投薬の防止や残薬解消により、医療費の適正化につながるとした。
ただ、かかりつけ機能の評価と門前薬局の適正化は、過去数回にわたる報酬改定でも進められており、特に新しい内容は盛り込まれていない。今回、「調剤報酬を抜本的に見直す」との文言を盛り込んだことについて、厚労省は「従来の方向性をより明確にした上で、それを強力に進める」と説明した。
また、医薬分業の質を評価するため、適切な指標(疑義照会、在宅医療への参画など)を設定し、定期的な検証を実施しながら医薬分業を推進する方針も示した。
病院の中や敷地内への薬局開設を禁止している構造規制についても、かかりつけ薬局の移行を進めることに合わせ、「経営上の独立性」「患者の自由な薬局選択」を確保した上で、今後、中医協で検討するとした。
規制改革推進室によると、厚労省が示した改革案に対し、会議側から異論は出ず、肯定的な意見が出たという。