抗がん剤によって膵がん細胞からのGM-CSF産生量が増加
北海道大学は5月20日、抗がん剤をかけられると膵がん細胞から産生されるGM-CSF(顆粒球単球コロニー刺激因子)というサイトカインが増えることを発見したことを発表した。これは同大学医学研究科の平野聡教授と遺伝子病制御研究所の清野研一郎教授のグループが行った研究によるもの。
がん治療では抗がん剤が投与されることが多いが、抗がん剤ががん微小環境にどのような変化をもたらすかについては不明な点が多い。今回、同研究グループは、ヒトの膵がん細胞や末梢血、また手術で摘出された膵がん組織を使って、がん細胞に抗がん剤を作用した場合どのようなタンパク質が産生されるか、またその免疫細胞に対する影響は何かなど、がん微小環境について調査した。
GM-CSFの阻害で免疫抑制細胞が減少
その結果、抗がん剤をかけられると膵がん細胞から産生されるGM-CSFが増えることを発見。GM-CSFは周囲のマクロファージに働き、免疫抑制性の細胞に変化させることも分かった。免疫抑制細胞が増えると、がんを攻撃しようとする免疫の働きが弱められるが、GM-CSFを抗体で阻害すると、免疫抑制性細胞の生成が減ることも明らかになったという。
今後は膵がんに対して抗がん剤で治療する際に、GM-CSFを阻害するような薬剤も併用すれば、免疫機能を高め治療効果が改善することが期待される。なお、この研究成果は、米科学雑誌「Cancer Research」オンライン版に5月7日付で掲載されている。
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・北海道大学 プレスリリース