新たな治療法の開発が望まれていた根治切除不能な甲状腺がん
エーザイ株式会社は5月20日、根治切除不能な甲状腺がんを効能・効果とする、新規抗がん剤「レンビマ(R)カプセル4mg、同10mg」 (一般名:レンバチニブメシル酸塩)を、日本において発売したと発表した。
画像はリリースより
レンビマは、腫瘍血管新生や腫瘍増殖に関わるVEGFR、FGFR、RET、KIT、PDGFRなどに対する選択的阻害活性を有する経口投与可能な分子標的薬。特に甲状腺がんの腫瘍血管新生、腫瘍増殖に関与するVEGFR、FGFRおよびRETを同時に阻害する。また、同剤は、VEGFR2とのX線共結晶構造解析から、新たな結合様式(タイプV)を有することが確認された薬剤であり、標的分子に素早く結合し強力なキナーゼ阻害作用を示すことが確認されている。
甲状腺がんの多くは手術および放射性ヨウ素療法で治療できる一方、根治切除不能な甲状腺がんに対する治療選択肢は限られており、新たな治療法の開発が望まれていた。なかでも、甲状腺未分化がんは、臨床的に悪性度が高く、予後が最も悪いがん腫のひとつであり、新しい治療法の開発が望まれていた。
2015年2月から米国において発売開始、欧州でも承認勧告を受領
同剤は、分化型甲状腺がんに加えて、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がんを含む根治切除不能な甲状腺がんの効能・効果を有する。グローバルで実施した分化型甲状腺がんを対象とした臨床第3相試験(SELECT試験)において、プラセボに対して無増悪生存期間を統計学的に有意に延長するとともに、高い奏効率を示していた。同試験において認められた主な副作用は、高血圧、下痢、疲労・無力症、食欲減退、体重減少だったという。また、国内で実施した臨床第2相試験(208試験)では、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がんにおいても、忍容性と有効性が示唆されている。
同剤は既に、米国において局所再発又は転移性、進行性、放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんの適応で2015年2月から販売中。2015年3月には欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より、成人での放射性ヨウ素治療抵抗性の進行性又は再発の分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん、ヒュルトレ細胞がん)の適応で新薬承認勧告を受けている。また、スイス、韓国、カナダ、シンガポール、ロシア、オーストラリア、ブラジルにおいては、現在申請中。また、同剤に関しては、肝細胞がんを対象としたグローバル臨床第3相試験や腎細胞がん、非小細胞肺がんなど複数のがん腫を対象にした臨床第2相試験が進行中だ。
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・エーザイ株式会社 ニュースリリース