■“健康ステーション”も積極的に
日本薬剤師会の山本信夫会長は16日、札幌市内で開かれた北海道薬学大会で講演し、残薬の解消や後発品の使用促進に薬剤師が介入することによって、それぞれ700~800億円、7000億円程度の医療費削減効果があるとのデータを示し、こうした取り組みが「次の調剤報酬改定に響いてくるだろう」との認識を示した。また、薬局となる健康ナビステーション(仮称)についても言及。「間もなく基準作成の議論が始まると思うが、薬局・薬剤師ができることをどんどん作っていかないと、存在が問われる」とした。
山本氏は、日薬のサポート薬局1023施設を対象に実施した残薬変化に関する調査の結果を紹介し、薬剤師が介入することによる医療費削減効果を強調した。
調査では、2013年10月31日に来局した患者のうち、▽過去1年以上にわたり定期的に来局▽慢性疾患に対する処方で5種類以上の処方が含まれる▽28日以上の長期処方▽20歳以上――の条件に合致した患者632人(全体の12%程度)に対して、薬剤師が介入した結果、1年後には3124円だった残薬の平均額が1031円となり、2093円減少。また、調査開始時に0%だった「残薬0円」の患者は52%に増えた。
山本氏は、1年間に来局する患者数6~7億人のうち、12%の患者に薬剤師が介入し、平均2000円の減少になれば、「1400億円くらいの財政効果がある」
と指摘。薬剤師の介入により、52%の患者が「残薬0円」になったことを踏まえ、「1400億円のうちの半分、700~800億円が節減できる」と説明した。
また、13年の調剤医療費に占める薬剤料5兆2400億円のうち、5999億円が後発品で、薬局で調剤した後発品を全て先発品に戻すと仮定した場合、その分の薬剤料は約1兆6000億円に増大するとの推計を示し、後発品の切り替えで約1兆円の薬剤費節減につながっているとした。
その上で、薬剤師からの説明をきっかけとして後発品に切り替えた患者が66%だったとの中央社会保険医療協議会のデータを示し、「7000億円くらいの効果がある」と説明。山本氏は、こうした取り組みが次の調剤報酬改定に響いてくるだろう」との認識を示した。
一方、16年度改定について、「これだけ薬剤師が叩かれているので厳しいだろう」との認識を示した。
山本氏は、直近の改定という「目先の問題はある」としながらも、12年度改定からは、「2年ごとの改定ではなく、次の大きな改定を見据える。つまり、5年ごとに策定される医療計画など、国がどのような医療提供体制を作りたいかというビジョンに沿って、フィーがついている」と述べ、団塊世代が75歳以上となる「25年の医療提供体制というゴールに向けて進んでいくというのが将来の姿だと考えている」とした。