熱中症による労働災害の発生に注意促す
厚生労働省は5月14日、平成26年の「職場での熱中症による死傷災害の発生状況」を取りまとめた結果を発表した。この結果を踏まえ、平成27年の職場における熱中症予防対策は、昨年に続いて死傷災害が多く発生している建設業や製造業などを重点業種とし、重点事項などについて都道府県労働局長あてに通達を出した。
画像はリリースより
発表資料によると、平成26年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は423人で、うち死亡者は12人。死傷者は平成25年よりも107人少なく、死亡者は18人少なくなっている。しかしながら、近年の熱中症による死傷者は、猛暑だった平成22年の後も、毎年400~500人台で高止まりの状態にあるという。業種別の死傷者では、建設業が最も多く、次いで製造業で多く発生しており、全体の約5割がこれらの業種で発生している。
建設業や製造業などを重点業種とし、重点事項を通達
平成26年に熱中症で死亡した12人の状況をみると、気温と暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さ指数であるWBGT値の測定を行っていなかったり、計画的な熱への順化期間が設定されていなかったなど、基本的な対策が取られていなかったことが分かった。また、この死亡した12人のなかには、定期的な水分・塩分の摂取や、健康診断などを行っていなかった人もいたことが明らかになった。
これを受け、死亡者の発生が特に多かった建設業や製造業においては、簡易屋根の設置やスポットクーラーの使用とともに、作業時間の見直しを行い、単独での作業を避けることなどが通達された。また、作業時間については、7、8月の14時から17時の炎天下などでWBGT値が基準値を大幅に超える場合には、原則作業を行わないことも含めて見直しを図ることが重点事項とされている。
今年の夏は、気温が平年並みか平年より高くなることが見込まれており、熱中症による労働災害が多く発生することが懸念されている。
▼外部リンク
・厚生労働省 報道発表資料