原因不明の「震え」の病態解明に期待
京都大学は5月14日、同大医学研究科附属動物実験施設の庫本高志准教授、大阪薬科大学の大野行弘教授らの研究グループが、実験動物のラットを用いて、本態性振戦の原因遺伝子を発見したと発表した。
画像はリリースより
明らかな原因と考えられる病変が存在しない病態不明の本態性振戦には、遺伝の関与が示唆されてきた。本態性振戦は成人で最も頻繁に見られる神経疾患で、人口の2.5~10%に見られるという統計がある。しかし、この原因となる遺伝子は不明だった。
2つの遺伝子異常が組み合わさって発症
今回、研究グループは、実験動物のラットを用いて本態性振戦の原因となる遺伝子を発見。1つはイオンチャネル、もう1つは脳内でグルタミン酸に次いで多く存在しているアセチルアスパラギン酸の分解酵素だったという。さらに、個々の遺伝子異常だけでは本態性振戦は発症せず、2つの遺伝子異常が組合わさったときに、はじめて本態性振戦が発症することも明らかとなった。
これら2つの遺伝子は、ヒトも持っており、ラットと同様の働きをしていると考えられるため、ヒトの本態性振戦患者においても、これらの遺伝子変異の可能性があるという。
今後は同疾患の患者を対象に、今回発見された遺伝子変異があるかを調査すると共に、ラットを用いて発症機序を明らかにしていくとしている。なお、同研究成果は米科学誌「PLOS ONE」に5月13日付で掲載されている。
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・京都大学 プレスリリース