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熱愛中にドーパミン神経が活性化する脳領域を解明-理研

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2015年05月18日 PM01:45

恋人を見てドキドキすると、前頭葉の2つの領域が活性化

理化学研究所は5月14日、恋人の写真を見た時に活性化するドーパミン神経が、前頭葉の内側眼窩前頭野および内側前頭前野の2つの領域に局在し、とくに内側眼窩前頭野のドーパミン神経がその時の気持ちの高まりの強さに関わっていることを、陽電子放射断層画像法(PET)を使って明らかにしたと発表した。


画像はリリースより

この研究成果は、理研ライフサイエンス技術基盤研究センター健康・病態科学研究チームの渡辺恭良チームリーダー、高橋佳代研究員、水野敬上級研究員らと、ロンドン大学のセミア・ゼキ教授、および大阪市立大学との共同研究グループによるもの。同研究成果は、スイスのオンライン科学雑誌「Frontiers in Human Neuroscience」に4月9日付で掲載されている。

熱愛中のカップルに恋人の写真を見せると、大脳の特定領域が活性化することが、共同研究グループのセミア・ゼキ教授らによる機能的MRI法(fMRI)を用いた先行研究で報告されている。また、一夫一婦制のモデル動物であるハタネズミを用いた実験からは、神経伝達物質ドーパミンがつがいを作る行動に重要な役割を果たすことが示されている。しかし、ヒトにおいてドーパミンと恋愛の関係を明らかにした研究はこれまでなく、恋をしているとき脳で何が起きているのかは解明されていなかった。

恋愛感情が報酬系と同じ神経基盤を共有している可能性

研究グループは、異性と熱愛中である10名(女性6名、男性4名。平均年齢27歳。恋愛期間の中央値は17か月)を対象に、恋人の写真と、恋人と同性の友人の写真を見せた時の脳内のドーパミン放出の違いをPETで測定。その結果、恋人の写真を見た時には、大脳皮質の内側眼窩前頭野および内側前頭前野でドーパミン神経が活性化していることが明らかになった。また、恋人の写真を見たときの気持ちの高まりの強さと、内側眼窩前頭野でのドーパミン神経の活性化レベルは正の相関があったという。

これは、主観的な恋愛感情と、客観的に測定可能なドーパミン神経の活動とが相関していることを示すものだ。内側眼窩前頭野は報酬系に関わる領域であることから、ヒトの恋愛感情は報酬系と同じ神経基盤を共有している可能性があるという。今後は、内側眼窩前頭野のドーパミン神経の活性化が恋愛に特異的な神経活動かを検証するとともに、セロトニンなど他の神経伝達物質と恋愛の関係の解明を進めるとしている。

▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース

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