■厚労省 80%に難色示す
政府の行政改革推進会議に設置した「歳出改革ワーキンググループ重要課題検証サブ・グループ」は15日、医薬品の国民負担を軽減するための後発品の使用促進策について、厚生労働省と財務省からヒアリングを行った。2017年度に後発品の数量シェア60%を達成する目標について、財務省は、達成時期を前倒しした上で80%への目標引き上げが可能と主張。一方、厚労省は、後発品メーカーの供給能力を考慮すべきとの考えを示し、目標引き上げに難色を示した。次回以降、関連団体からヒアリングを行い、6月の中間まとめを目指す。
同ワーキンググループは、8日に開いた会合で、後発品の使用促進は、国民の医療費負担の軽減に大きく寄与するため、早急に審議する必要があると判断。その第1弾として、後発品の使用促進策をめぐり厚労省と財務省からヒアリングを行った。
この日の会合で、委員からは「14年度診療報酬改定が効果を発揮した」など、後発品の使用促進策を評価する意見が出た。その上で、17年度に数量シェア60%の目標を前倒しできないか議論した。
財務省は、17年度に数量シェア80%への引き上げ可能と主張。これに対し、厚労省は、後発品メーカーに供給能力がなければ、さらなる使用促進はできず、製造工場の建設にも5年程度の時間的余裕が必要と反論。後発品メーカーの供給能力に限界があることを考慮すべきとの考えを示したが、財務省は「先発品の特許切れを見込んで予見可能性を後発品メーカーに示すことを通じて、税制優遇措置などにより、前もって設備投資を行うことで供給体制を確保できる」と主張した。
今後、同サブ・グループでは、日本医師会、日本薬剤師会、日本製薬工業協会、日本ジェネリック製薬協会、日本ジェネリック医薬品学会など、関連団体から2回にわたってヒアリングを行い、6月に後発品の使用促進策についての中間取りまとめを目指す。
終了後に記者会見した土居丈朗座長(慶應義塾大学教授)は、中間取りまとめで新たな数量目標を提言するかについては、これからの議論としつつも、「われわれとしては、後発品の使用促進に効果的な具体策について、それなりの確度で見込めるものであれば、おそらく目標の前倒しや引き上げなり、委員のコンセンサスが得られることはあるのではないか」とした。