新生児のHIE治療にさい帯血幹細胞を移植する再生医療を実施
大阪市立大学は5月12日、出産時に起きる脳性まひの主な原因である「新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)」について、さい帯血に含まれる幹細胞を用いて治療を行う国内初の臨床研究を開始したと発表した。この研究は、同大学医学研究科発達小児医学分野の新宅治夫教授らと、他10機関でつくる共同研究グループによるもの。
今回の研究開始に先立ち、同研究グループは2014年8月26日に厚生労働省で記者会見を行い、根本的な治療法がなく、病態解明、予防・治療法開発が必要とされているHIEの新生児に、さい帯血幹細胞を移植することで、損傷した細胞や血管を再生させる医療についての臨床研究を始めることを発表していた。
日本初の臨床試験、1人目の経過は順調
HIEの新生児に対するさい帯血幹細胞治療は、米国Duke大学の医師より、その症状に劇的な改善が見られる症例があることが報告されていた。その症例を機に、米国をはじめ世界中で新生児HIEに対する幹細胞治療の臨床試験が行われ始めたが、日本ではまだ行われていなかった。
今回、1人目の治療を4月28日に岡山県の倉敷中央病院で実施したが、現在のところ経過は順調だという。この臨床研究は全国6病院で行う予定で、今後6例の実施を想定している。
この臨床研究開始により、周産期脳障害に対する有効な治療法の開発が望まれている。
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・大阪市立大学 ニュースリリース