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食事性肥満に関わる分泌性因子を発見-京大

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2015年05月13日 PM03:15

分泌性因子「」の遺伝子欠損で肥満になりにくく

京都大学は5月8日、分泌性因子neudesinの遺伝子欠損マウスが肥満しにくいことを初めて明らかにしたと発表した。これは、同大の伊藤信行名誉教授、東京農工大学の木村郁夫テニュアトラック特任教授(元薬学研究科客員准教授)、神戸薬科大学の太田紘也研究員(元薬学研究科特定研究員)らの研究グループが、医学研究科メディカルイノベーションセンターの中尾一和特任教授、龍谷大学の伏木亨教授(元農学研究科教授)、神戸薬科大学の小西守周教授らと行った共同研究によるもの。


画像はリリースより

近年、肥満の増加が全世界的に問題になっているが、薬物による肥満治療が成功を収めているとは言い難い。こうした中、白色脂肪組織由来の分泌性因子レプチンが肥満の発症に関わることが明らかになってからは、肥満の発症に関わる分泌性因子は、抗肥満薬開発の標的として大きな注目を集めていた。

エネルギー消費の亢進、交感神経系の活性化などを確認

研究グループは、ヒトcDNAデータベースからシグナル配列を目印に、新規分泌性因子を見つけ出し、その機能を調査。さらに、新しく発見した分泌性因子の1つであるneudesinが生体内で果たしている役割を明らかにするためにneudesin遺伝子を欠損させたマウス(neudesin KOマウス)を作成して、解析を試みた。

その結果、neudesin KOマウスは肥満を誘導する餌を与えても太りにくいこと、エネルギーの消費が亢進していたこと、交感神経系が活性化していたこと、さらに脂肪組織でエネルギー消費が亢進していたという成果を得たという。以上のことからneudesinがエネルギー消費の調節を介して、肥満の発症に関わることを明らかにしたとしている。

今後、neudesinが肥満の発症において果たす役割が明らかになることで、neudesinを標的にした抗肥満薬開発への応用が期待される。なお、この研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」電子版に5月8日付で公開されている。

▼外部リンク
京都大学 研究成果

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