重症血液がん治療に関するPD-L1阻害剤開発で提携
英国のアストラゼネカと同社のグローバル医薬品研究開発部門であるメディミューンは4月24日、米国のセルジーン・コーポレーションと、非ホジキンリンパ腫、骨髄異形成症候群および多発性骨髄腫を含む一連の血液がんにおける「MEDI4736」の開発および商業化に関する独占的提携契約を締結したことを発表した。
MEDI4736は、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)に直接作用する、開発中の免疫チェックポイント阻害剤。PD-L1を介するシグナルにより、腫瘍は免疫システムから探知されるのを回避しているが、MEDI4736はこれらのシグナルを阻害することで、腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないよう作用するという。
同剤は、非小細胞肺がんと頭頸部がんを対象とする第3相試験がすでに実施されている。このOCEANS臨床開発プログラムでは、肺がん領域全体における単剤療法およびCTLA-4 (tremelimumab)との併用療法の両方を評価。頭頸部がんにおいては、MEDI4736は、化学療法が奏効しなかった患者における単剤療法およびtremelimumabとの併用療法の両方が、PD-L1発現状況別に検討されているという。
今後、新薬候補が追加、拡大する可能性も
今回の契約のもと、セルジーン社はMEDI4736関連で、アストラゼネカに4億5,000万ドルの契約一時金を支払う。セルジーン社は提携期間中の全臨床試験における開発を主導。また、2016年末までは全研究開発費用を、それ以降は研究開発費用の75%を負担する。更に、セルジーン社は承認された治療薬の全世界における商業化の責任も負うという。一方、アストラゼネカはMEDI4736の製造を継続、その売上を計上し、血液学的適応症における全世界の売上に対するロイヤリティをセルジーン社に対して支払う。当初のロイヤリティ料率は70%だが、4年間では血液学適応症におけるMEDI4736の売上の約50%まで減少するという。
この提携では、MEDI4736の単剤療法ならびに、アストラゼネカおよびセルジーン社の開発中あるいは既存のがん治療薬との併用療法の両方が検討評価される。また、同提携によって、今後新薬候補が追加され拡大する可能性もあるとしている。
アストラゼネカはセルジーン社と共に、血液がんの治療に改革をもたらすため、患者の免疫システムを活性化する画期的な治療薬候補である抗PD-L1のポテンシャルを最大化するよう、抗PD-L1プログラムを設計していくと述べている。
▼外部リンク
・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース