国がんの知見と武田薬品の技術基盤を融合
武田薬品工業株式会社は5月8日、国立がん研究センター(国がん)と研究開発提携に関する契約を締結したことを発表した。これは、日本発の優れた画期的な抗がん剤を創出し、いち早くがん患者とその家族に届けるという目標のもとに締結されたもの。
両者は、抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師などの交流を促進し、がんの発症メカニズムや薬剤感受性に関する研究などの基礎研究の進展に寄与すること、および、基礎研究で得られた成果を臨床開発研究に応用することで新たな治療オプションを探索することを目的とし、同契約に基づき、双方の強みを活かしたがんの基礎研究から臨床開発研究における連携を実行に移すべく、必要な情報共有と協議を継続的に実施するという。
がんゲノムスクリーニング事業への参画も表明
今後の連携を深める一環として、武田薬品は、国がんが進める産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM(スクラム)-Japan」に参画する。この事業は、全国の医療機関と製薬企業とが協力して実施する、がん遺伝子異常スクリーニング事業。2015年2月より始動しており、全国200以上の施設と10数社の製薬企業が参加している。同事業で構築される遺伝子情報と診療情報を合わせたデータベースにアクセスすることで、新たな医薬品の研究開発の取り組みが加速するとしている。
今回の提携を受けて国がんは、同センターが有するさまざまな細胞株や動物モデル等のバイオリソースや生物学的な解析技術、詳細な病理情報及び診療情報と連結可能な豊富な患者試料などと、武田薬品が持つ創薬開発技術や創薬候補物質などの相互の強みを活かすことにより、医薬品や診断薬の開発が一層促進されることが期待できると述べている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース