多目的コホート研究から、緑茶・コーヒーの摂取と死因死亡リスクの関係を調査
国立がん研究センター(NCC)がん予防・検診研究センターは5月7日、多目的コホート(JPHC)研究から、緑茶摂取と全死亡リスクおよびがん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患及び外因死を含む5大死因死亡リスクとの関連を検討した研究の結果を発表した。
画像はリリースより
緑茶の飲用については、これまでにも循環器疾患やがんとの関連についての研究が行われてきたが、健康の指標となる全死亡や主要な死因との関連についてはよく分かっていなかった。そこで今回、同研究グループは、多目的コホートの40~69歳の男女約9万人を、1990年または1993年の研究開始から2011年まで追跡した調査結果をもとに、緑茶の習慣的摂取と全死亡・主要死因死亡リスクとの関連を検討した。
緑茶の摂取量が増すにつれてリスクが下がる負の相関
調査によると、追跡期間中に1万2,874人が亡くなっており、そのうち、5,327人ががん、1,577人が心疾患、1,264人が脳血管疾患、783人が呼吸器疾患、992人が外因による死亡だったという。
解析の結果、緑茶を1日1杯未満飲む群を基準として比較した場合、1日5杯以上の群の全死亡リスクは、男性の全死亡0.87、女性の全死亡で0.83と低く、摂取量が増すにつれてリスクが下がる負の相関がみられたという。
死因別には、がん死亡との関連は男女ともみられなかったものの、心疾患による死亡は男女とも低く、脳血管疾患と呼吸器疾患については男性でのみ低いという結果だった。今回の研究によって、男女とも、緑茶を習慣的に摂取する量が増えるにつれ死亡リスクが低下する傾向にあることが分かった。
死亡リスクの低下がみられた理由については、緑茶に含まれるカテキン(血圧や体脂肪、脂質の調整)やカフェイン(血管保護、呼吸機能改善)、テアニンやカフェイン(認知能力や注意力の改善)の効果が推測されているという。
また、同研究グループは、多目的コホート研究により、コーヒーと死亡・死因別死亡の関連も報告した。コーヒー摂取については、全死亡および心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクの低下が確認されたが、がん死亡リスクとは関連がみられなかったという。この研究結果は、「American Journal of Clinical Nutrition」WEB版に、先行公開されている。
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・国立がん研究センター リサーチニュース