日本薬剤師会は、「薬局・薬剤師のための検体測定室の適正な運用の手引き(暫定版)」をまとめた。検体測定事業では、血液などの検体採取を受検者が自分で行うため、感染症予防に関する責任について十分認識し、薬局内で徹底した衛生管理を行うよう要請。医師の診断を伴わない検体測定の結果だけで、利用者が健康であると誤解する事態が生じかねないとし、かかりつけ医や地域医師会、医療機関と連携する必要性を強調している。
手引きは、既に厚生労働省が示している「検体測定室に関するガイドライン」と疑義解釈集(Q&A)を踏まえ、薬局で検体測定を行う場合を想定し、留意事項や解説を付したもの。
検体検査事業について、国民の健康意識の醸成や医療機関受診の動機づけを高める観点から、受験者が自ら検体を採取し、測定結果について判断することで健康管理の一助となるよう支援するためのものとした。
その上で、薬局・薬剤師に対しては、衛生管理の徹底を要請。血液を取り扱うことのリスクを十分に認識し、器具等の衛生管理や単回使用器具の再使用の防止、廃棄に至るまでの安全管理等について、従業員への教育・研修や、利用者への測定に際しての説明・注意喚起を行い、感染症を防止する責任があるとした。
薬局・薬剤師の役割について、「国民が健康管理を行うための支援や、医療を必要とする者に対して、医師と協働して薬物治療を提供する役割を担っている」とし、同事業を実施するに当たっては、「かかりつけ医や地域医師会をはじめ、関係機関と十分に連携し、地域の保健、医療体制を踏まえて実施する」ことを求めた。
血液採取の刺激により、迷走神経反射を来し、心拍数の低下や血管拡張による血圧低下などが起きる可能性も想定。安静な姿勢を保持できる簡易ベッドをはじめ、毛布、枕、飲料などを「準備しておくことが必要」とした。
さらに、厚労省が今年2月に公表した「検体測定室に関するガイドライン」の遵守状況を調べた自己点検の結果によると、検体測定室454件のうち68件(15%)でガイドラインが遵守されていないことが明らかになったことを踏まえ、ガイドラインを遵守できない場合は、「事業を行うべきではない」とした。