医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 脊髄神経細胞が脳からの運動指令を変換して手指の筋肉を制御するメカニズムを発見-NCNP

脊髄神経細胞が脳からの運動指令を変換して手指の筋肉を制御するメカニズムを発見-NCNP

読了時間:約 1分3秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2015年05月08日 AM06:00

身体の初期位置に応じて脳からの運動指令を骨髄神経回路が変換

国立精神・神経医療研究センターは4月30日、神経研究所モデル動物開発研究部の関和彦部長らのグループが、霊長類における脊髄の神経細胞が脳からの運動指令を変換して、多くの手指の筋肉を制御しているメカニズムを世界で初めて明らかにしたことを発表した。


画像はリリースより

同じ目的を持った運動でも身体の初期位置によって使われる筋肉は異なるが、脳からの運動指令は、運動する前の手の位置に応じて適切な筋肉を使うプログラムに無意識のうちに変換されている。しかし、この無意識に行われている運動指令を変換する脳内メカニズムはこれまで不明だった。

新たなリハビリテーション法の開発に期待

研究グループは、脳からの運動指令の変換には、身体の位置に関する感覚情報と運動指令が狭い領域に混在している脊髄神経回路が関連していると予想。サルの手の位置を変化させて脊髄を電気刺激する電極を開発し、初期位置に応じて異なった筋活動が引き起こされることを見いだした。また、この現象は脳と脊髄の信号を切断した状態でも観察されたという。

この研究成果は霊長類で共通するもので、ヒトの無意識下の運動がこのような脊髄の運動指令の変換メカニズムを用いて制御されている可能性を示すとしている。今後は、脊髄が持つ運動指令の変換メカニズムを再建する新たなリハビリテーション法の開発や、脳梗塞や脊髄損傷などによる運動失調の新たな治療法の確立に貢献することが期待される。

なお、研究成果は、4月29日発行の米国神経科学学会誌「The Journal of Neuroscience」に掲載された。

▼外部リンク
国立精神・神経医療研究センター プレスリリース

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 血液中アンフィレグリンが心房細動の機能的バイオマーカーとなる可能性-神戸大ほか
  • 腎臓の過剰ろ過、加齢を考慮して判断する新たな数式を定義-大阪公立大
  • 超希少難治性疾患のHGPS、核膜修復の遅延をロナファルニブが改善-科学大ほか
  • 運動後の起立性低血圧、水分摂取で軽減の可能性-杏林大
  • ALS、オリゴデンドロサイト異常がマウスの運動障害を惹起-名大