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アルツハイマー脳の病理変化と神経活動の関係、光遺伝学を用いて実証-東大

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2015年05月08日 PM01:00

認知症の原因となるアミロイドβの蓄積

東京大学は5月1日、脳における神経活動とアルツハイマー病との関係を、光遺伝学を用いた研究で明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科・神経病理学分野の岩坪威教授らによるもの。研究成果は、米科学雑誌「Cell Reports」に月30日付けで掲載されている。


画像はリリースより

認知症の症状が生じる原因は、脳内でアミロイドβ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の断片が「老人斑」として細胞の外に溜まることと考えられている。しかし、このAβがどのようにして神経細胞から放出され、溜まってゆくのかは、十分に分かっていなかった。アルツハイマー病の脳でAβが早くから溜まりやすい場所は、健康時から神経活動の高い部位に一致することが、最新の画像診断法を用いて判明していたが、これを直接証明した研究はなかったという。

神経活動を光照射で制御する「光遺伝学」技術をマウスに応用

そこで研究グループは、遺伝子操作により「チャネルロドプシン」という分子を発現させた神経細胞に光を照射することによって神経活動を高める「光遺伝学」と呼ばれる方法を応用。アルツハイマー病モデルマウス「APPトランスジェニックマウス」の脳における神経活動を、この光遺伝学により制御した。

約5か月間にわたって、このマウスに連日1回ずつ光刺激を与え続け、海馬のAβ蓄積量を計量・評価したところ、マウスの海馬のAβ蓄積面積は約2.5倍に増加することが分かったという。これによって、アルツハイマー病の原因となるAβの蓄積が、長期間に及ぶ神経活動の亢進によって増大することが初めて実証された。

今後、アルツハイマー病を理解し、予防法を科学的に追求するにあたって、神経活動や脳機能との関係は、ますます重要な課題となるものと考えられる。今回の研究成果は、アルツハイマー病の予防・治療を進める上で、神経活動をどのように整えるのが有効かについての手がかりとして重要な手がかりをもたらすものとして期待される。

▼外部リンク
東京大学 プレスリリース

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