■調剤技術料、抜本的な適正化を
財務省は4月27日、財政制度等審議会・財政制度分科会に医薬関連の適正化策を多く盛り込んだ社会保障制度見直し案を提示した。後発品の使用割合目標を、現在の「2017年度内に60%」から、80%に引き上げるよう提言。長期収載品や市販品類似薬の保険給付のあり方、薬価制度の見直しなども求めた。調剤技術料については、薬局の果たしている役割を踏まえつつ、「抜本的な適正化」を要求した。今夏をメドに策定する財政健全化計画への反映を目指す。
財務省は、高齢化などで増加が予想される社会保障関係費について、消費税を財源とした充実策を除き、毎年5000億円、5年間で2・5兆円程度の伸びに抑える必要があるとの考えを示した。
国民皆保険制度を維持するためには、団塊世代が後期高齢者になる直前の20年度を見据え、高齢化要因以外の経費の伸びを抑制する必要があると指摘し、医療・介護の制度改革・効率化に向けた具体策を提示した。
後発品については、60%の目標達成の前倒しや、使用割合目標を80%に変更することを提案。これに伴い、長期収載品の特例的引き下げに関しても、新たに後発品置き換え率80%未満の要件を追加するよう求めた。
また、現行の調剤報酬で使用割合が55%以上、65%以上の2区分になっている後発医薬品体制加算の基準や、DPC病院の機能評価係数IIの「後発医薬品係数」を引き上げるなど、施策の強化を図るべきとした。
調剤技術料では、院内処方に比べ、院外処方の方が自己負担額が3~4倍近く高くなるとの事例を示し、「調剤基本料・調剤料は右肩上がりで増加」していることや、薬剤服用歴未記載問題を念頭に「昨今の不正事案なども通じて意義を見出しにくいとの批判がある薬学管理料が近年、増加傾向」にあることを問題視。
調剤薬局大手4社の内部留保合計額が、10年の263億円から14年に577億円と増えているとのデータを示し、「院内処方との比較、保険薬局の果たしている役割も踏まえながら、調剤技術料について抜本的な適正化が必要」とした。
新薬創出・適応外薬解消等促進加算についても、意義を改めて精査するよう提案した。14年度中に保険収載された新薬のうち、小児・有用性加算の対象と認められた品目は、件数ベースで26%、金額ベースで13%にとどまっていると指摘。
加算の要件が単に「価格の下落率」という形式面に着目しており、加算の趣旨である「真に医療の質向上に貢献する医薬品を開発する」という趣旨に貢献していないのではと疑問視した。
また、生活習慣病治療薬の処方ルールの明確化も求めた。国内では、「高価な降圧薬(ARB系)が多く処方されている」ことを問題視し、費用対効果による評価やそれに基づく処方ルールの明確化や価格付けのあり方について検討が必要とした。
17年4月に予定されている消費税率10%引き上げ時の対応については、16年度に薬価調査を行い、市場実勢価格に基づく改定を行った上で、消費税相当分を「適切に措置する必要」があると示した。
ただ、仮に医療費を課税扱いとする場合には、「診療報酬・薬価に含まれる課税仕入れに係る消費税対応分(消費税率10%相当分)を是正することが必要」とした。