活動的な高齢者に多い手首の骨折の早期治療に
バイオメット・ジャパン合同会社は、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)の外科的治療の際に、骨折した部分の骨を直接固定する骨折治療材料と、手術器械一式がセットになった滅菌済みパッケージ「DVR ePAK(イーパック)システム」を5月1日より整形外科の医師向けに国内発売することを発表した。
画像はリリースより
肘から手首までの2本の骨のうち、親指側の骨を橈骨(とうこつ)というが、この橈骨の手首部分の骨折は60~70歳代での発症率が高く、また屋外での受傷が多いことから、活動性の高い高齢者に多いことが特徴だ。この骨折は年間10万件ほど発生しているといわれ、うち6万件程度は、プレートとスクリューという骨折治療材料を使って、手術で直接的に骨を固定する方法で治療される。
手首の骨折で、変形したまま骨が癒合した例では、治療後の手首(手関節)の動かしやすさ(関節可動域)や握力の低下を招くおそれがある。特に活動性の高い人ではそのような手首の変形が機能障害として現れやすいといわれており、受傷後はできるだけ速やかに、受傷前に近い形に骨を接合させる早期の治療が望ましいとされている。
患者の手術までの待機時間短縮に期待
今回発売されるDVR ePAKシステムは、手術治療の際に個別に揃える必要があった骨折治療材料のプレートとスクリューと、多くの場合メーカーから病院に貸し出され、病院に届いてから滅菌を行っている手術用の専用器械一式を、あらかじめひとつの滅菌済みパッケージにセット。これらを個別に揃える段取りと、それにかかる時間を短縮でき、届き次第すぐに手術が始められるという。
また、骨折治療材料のプレートとスクリューは、比較的単純な手首の骨折でも一症例に付き10点以上が使われる。従来の方法では、個別に滅菌包装された箱から手術中にひとつひとつ丁寧に取り出す作業が必要だったが、今回のDVR ePAKシステムでは、この個別の箱を開ける作業が不要になり、手術中に箱を開けるのを待っている時間も短縮。手術の時間は、感染症を起こすリスク低減のために、短いほど良いとされている。
なお、DVR ePAKシステムにセットされる骨折治療材料は、掌側の固定用プレートとして草分け的な存在である「DVR アナトミック プレート」。2000年の米国での発売後、改良を重ねながら、広く世界中で使用されており、世界で約50万例の使用実績がある。
▼外部リンク
・バイオメット・ジャパン合同会社 プレスリリース