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摘出した臓器の長期保存と臓器の機能を蘇生する技術を開発-理研

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2015年04月28日 AM06:00

摘出後、48時間にわたって肝障害を抑制

理化学研究所は4月22日、生体外においてラットから摘出した臓器の長期保存と臓器の機能を蘇生する技術を開発したと発表した。


画像はリリースより

この研究成果は、同研究所多細胞システム形成研究センター器官誘導研究チームの辻孝チームリーダー、株式会社オーガンテクノロジーズの手塚克成研究開発部長、慶應義塾大学医学部の小林英司特任教授ら共同研究グループによるもの。

同研究グループは、生体の血液循環を再現できる臓器灌流培養システムを開発。このシステムを利用して、ラットから摘出した肝臓を、22度の温度域で、酸素運搬体として赤血球を添加した培養液を用いて灌流培養したところ、48時間にわたって肝障害を抑制できたという。

また、摘出した肝臓を24時間灌流培養した後に、レシピエントであるラットに移植したところ、生存率は100%となり、低温保存による肝臓を移植した場合の生存率と比較して飛躍的に向上したとしている。

従来移植不適用な阻血状態のドナー臓器の利用拡大となるか

研究グループはさらに、機能不全となった臓器の蘇生にも成功。臓器内のATP量を可視化できるラット肝臓を使って、90分間の温阻血(心停止)により移植が不適応となった肝臓を、同システムで灌流培養した後にレシピエントに移植。その結果、レシピエントを生存させることができたことから、機能不全の臓器の蘇生を確認したという。

現在の臓器移植では、ドナー臓器を臓器保存液に浸し低温で保存するのが一般的だが、臓器の鮮度を保てる時間は限られている。世界的なドナー臓器不足のため、心停止ドナーからの臓器の利用拡大が求められており、なかでも長時間の阻血状態で移植不適応になったドナー臓器を蘇生し、臓器移植への利用を可能にする技術の開発に期待が寄せられている。今回の研究成果を進展させることで、現在の移植医療の問題を解決し、そのレベルを向上できる可能性が示唆された。さらには、再生臓器育成機器の開発にもつながると期待される。

▼外部リンク
理化学研究所 プレスリリース

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